きらめく自分になるために船戸崇史
2000年になりました。21世紀まで残すところあと1年ですね。 殊に末期の患者さんのなかでは、この様な心のドラマを伺い知ることが出来ます。在宅のなかでは、その患者さんがどの様に生きて死んで往かれたかという事が、最も大切にされるべきですが、その後に残された家族が、傷心をかかえどの様に生きて行くのかも同時に大切にされるべきだと思っています。患者さんがお元気なうちに、「死」を見越し、その後のことまで話し合われておいでのご家族は、患者さんの死後、故人の意志を継いで生きようとされます。決して遺言を守るということではなく、故人への思い出や感謝の言葉を糧に、故人のしたかった意志を継ごうとされます。その一生をかけて、共同体を守ろうとされた人、人の為に尽くそうとされた人・・などなど。そこには、本来の本当の人間の姿を垣間見る思いが致します。勿論、決して「死」について思いを馳せた人のみが家族へ遺産が残せると言うわけではありません。長く共に歩んだ歴史のなかに、すでに言葉を超えた遺産は良い悪いを問わずすでに家族の中には流れこんでいるものです。それは、その人の言葉を超えて、もっと無意識的です。後ろ姿です。その人が、どれだけ「死」について深めておいでかは、その人の後ろ姿にこそ顕れます。家族は、それを言葉を超えて受けとめます。今、生きているその瞬間から、刻々とあなたの遺産を家族に伝えているといっても過言ではないのです。 |