コラム

本当の健康とはその3”自然治癒力を呼び出す”

船戸崇史
前回までを簡単におさらいしましょうね。まず第1回は現在は自然治癒力を蝕むような環境破壊について思いのほか進んでいることを書きました。2回目は、生命力つまり自然治癒力について、この力の大きさを「ハイポニカトマト」の生命力を例に取って紹介させて頂きました。そして私達の自然治癒力を引き出す鍵は、この生命力の偉大さをどれだけ信じているかであり、「信念の限界が現実の限界である」と書かせていただきました。
自然治癒力を湧現する7つの方法
さて、今回は「では、どうやったらその自然治癒力が湧現されるのか」という具体的な
方法論に移りましょう。
さて、このテーマを考える前に、一度皆さんにお聞きしたいことがあります。私達の一番自然治癒力が「萎えている」時と言うのはどういう時だと思われますか?・・そうですね、病気の時、仕事のしすぎ、などなど色々あると思います。そんな時に、皆さんは一番「どうしたい」ですか?実は、私はこの答えこそが、まずもって生命力を上げる一番の方法であると思っています。私なら、まず「寝る」ですね。では、如何に生命力を湧現する為の7か条を紹介いたしましょう。

その1、『寝る事』
これは、どんな健康法にも勝る一番のベースです。ところが、勤勉な日本人は寝る時間を惜しんで仕事をします。これが一番の早死パターンですね。過労死と言います。しかし、最近は「寝れない」という人が増えました。寝れない人は、寝る努力をしていますが、なかなか難しいですね。ですから、如何に寝るかではなく、如何に昼を元気に起きているかの努力をして頂きたい。在宅医療の経験から、これは、人の一生にも似ていますね。「死にたい」と言う人は、中々上手く死ねません。寧ろ、如何に潔く死ぬかは如何に生きている時を「生き生きと生きているか」に掛かっています。つまりコロッと寝たい(死にたい)人は、昼の時間(人生)をピンピンと生きることがポイントだと言う事です。

その2、『規則正しい生活スタイル』
何か、堅苦しく感じますが、大体私達が風邪を引いたという時は、何か無理してませんか?どうぞ、今ここで少々無理をして得られる利より、風邪を引いて失う損失のほうが遥かに大きいことを知って、潔く「無理」を諦めてください。そして、規則正しいと言っても、1日の生活の中で決めることは、起きる時間、寝る時間、食事の時間の3つだけで、自ずと規則正しい生活になることを知ってください。
時には羽目をはずしても良いですから。

その3、『正しい食事』
これは、体は何で出来ているかと言えば、実は私達が毎日食べる食事なんです。つまり、体は「食べ物」「水」「空気」の3つから出来ているんですね。健康な体を作るのには当然良い材料が必要であり、正しい食事が大切なのです。では、正しいとは、どの様なことなのでしょうか?私は、3つの基準があると思っています。季節のもの、土地のもの、腹7分目です。この数十万年、日本人は、土地のもの旬のものしか食べられませんでした。その為、日本人の胴長短足の体型は穀物を食べる習慣から腸が長くなり収める胴が長くなったのです。遺伝ですね。土地のものでないものを、旬以外の季節に食べるためには、必ず「無理」が生じます。この無理は多くの場合、「毒」である事が多い。農薬や遺伝子組み換えですね。そして、腹7分目とは、食事の量は少ないほうが良いという意味ではなく、かつての我々の祖先は、十分に食べる事が出来なかったという事なんです。その期間が遥かに長かった。しかし、明治維新後、たかだかこの100年の食習慣の変化に数十万年かけてつくられた遺伝子が追いつくはずがない。ですから、正しい食事とは、かつての日本人の食事や食事スタイルに近くすれば、体が遺伝子に適合すると言う事なんですね。

その4、『適度な運動』
これは、とても大切で歩く行為を軽んじてはいけません。歩くとは、神経系、呼吸器系、腎泌尿器系、消化器系、筋肉骨格系そして免疫系などを等しく刺激をして、体のバランスを取ってくれます。特に、免疫系では、明らかに歩くと癌の予防が出来る事が判っています。朝、夕20分の散歩を楽しんでくださいね。

その5、『よく笑う』
これは、自然治癒力と関係あるのか?と言われる方もおられるかもしれませんが、実は笑う事によって、NK活性(がん細胞を攻撃する免疫担当細胞の活性)が顕著に上昇する事が科学的に証明されました。間違いなく、笑いは癌を寄せ付けません。まさに笑う門には福来るなのです。しかし、では泣くのは駄目かと言うと、実は泣くのも免疫活性が高まる事が判りました。よく泣いてよく笑うのが、生き生きのコツであると言う事。では、その反対は何かと言うと、「怒り」なんです。よく怒る人へ。怒り虫は、「わかってくれない。してくれない。」という「くれない」の場所に居着きます。怒るのは、他人が悪いのではなく、あなたが、してくれて当たり前と思っているからなんですね。原因は、ただあなた自身、あなたの思い込みだけなんですよ。それでも駄目なら、『ええい、笑っちゃえ!』ですよ。

その6、『呼吸法』
これは、ちょっと難しい様ですが、難しくありません。大切な事は、呼吸とは「はいて」「吸う」と書くという事。つまり、はく事に意味があり、出すことが大切なんです。それを深めたのが、ヨーガとか気功ということになりますが、実は朝の3分で良いので、目を閉じて体の力を抜いてゆっくり深呼吸をするだけで違います。体から出てゆく息を意識するだけで体は間違いなくその後に軽くなります。

その7、『思いやり』『違いを認めること』
多くの場合、人はどんな時に一番喜びを感じるかというと、「誉められた時」「認められた時」ですね。この喜びの瞬間、実は私達の中の生命力は大きく引き出されます。「自信」という形で。だから、自信がある、つまり自分の生き方に信念があるという状態は、極めて病気にかかりにくいと言えます。ですから、人を思いやり、認め、誉めればその誉められた人は、自信を持つことによって間違いなく生命力を上げてきます。そして面白い事に、この恩恵は、誉めた側にも同等以上に与えられるようなんですね。私はこれを「思いやりの法則」と、呼んでいます。
まさに、「人を呪わば穴二つ、人を誉めれば蔵が建つ」ですよね。

さあ、如何でしょうか?1から7までを通して、大切な事は、健康に成る(自然治癒力を上げる)ためには、いつでも、どこでも、誰でも、安く出来なければ本当のものではないという事です。健康のために出費がかさむと言うのは、本当の健康法ではないという事なのです。そして、せめて「笑う」「思いやり」は覚えてくださいね。これは人間にしか出来ない営みなのですから。