コラム

ストレス対処法

船戸崇史
さあ、今日は当たり前のことでありながら、日頃はあまり考えない、でもとっても大切なことを質問形式で一緒に考えてみたく思います。
設問1は、大凡すべての病気の原因である「ストレス」について一緒に考えてみたいと思います。設問では、皆さんは一体何にストレスを感じるのか?をお聞きしますが、考察では、ストレスの本体とは一体何か?を追求してみようと思います。これが分かれば分かるほど、対策が出来ますからね。
設問2では、ストレスの中でも究極と言えば、やはり「死」の問題でしょうか?それを日本ホスピス緩和ケア研究振興財団のアンケート結果を問う形で質問を進める事にしたく思います。
さあ、では早速始めましょうね。

設問1)変化に適応するためのストレスについて
質問1-1)あなたにとって今、一番大きなストレスとは何でしょうか?

ストレスですが、私が外来で聞いているストレスは人間関係、生活習慣(食事、睡眠、嗜好品、運動)、環境(有害物質など)が上げられます。しかし、良く聞くと環境要因は別として生活習慣は、やはり多くは元に人間関係があって、そのストレス発散のための嗜好品であったり、食べすぎであったりしますので、(それがまたストレスを助長する)根本的には人間のストレスの大きなところは常に対象としての「人」があるようですね。
あなたの、ストレスを整理する時、まずあなたの周りの人間を書き出してみてください。両親兄弟、親戚、会社、PTA,町内会、などなど。その1人1人にどのような印象、好き嫌い、善悪の判断をしていますか?それはなぜですか?次に食事。これは好きな食べ物だけではなく、量、質、時間(食事をする時間と食事に割く時間)も大切ですね。そして嗜好品(煙草、アルコールなど)。次に生活スタイルです。何時に起きて何時に寝ていますか?運動はしていますか?と続きます。
或いは、現在身内の病気などの看病をされておられる方は、「死」にまつわる問題があるかもしれませんね。
さあ今、あなたが感じているストレスを全て書きだしてみましょう。(出来るだけ沢山書きだして、次に序列をつけてみましょう)

質問1-2)
以下の表1は、ストレスとはその人が持っている意味のある何かをなくした時(対象喪失)の状態とも言えます。では、喪失体験として「非常にストレスの多い状態」とは何か?

少々古い外国のデータなので、今の日本人に適応できるかどうかは分かりませんが、皆さんならどう考えますか?(Freedman A.et al : Comprehensive TextbookofPsychiatry, 1975)

(表1)
出来事 ストレス値
100
73
親密な家族員の死 63
怪我や病気 53
失職 47
親密な友人の死 37
配偶者とのトラブル 35
職場の上司のトラブル 23

設問2)死を目前にした時の心境とは?
「死」は大きなストレスである事は間違いありません。しかも、「人の死」は誰もが必ず経験しなくてはなりません。日頃あまり考えない、考えたくない以下の質問に、実はとっても大切なメッセージが含まれていると思うんですね。一緒に考えてみましょうか。
今回供覧する資料は、日本ホスピス緩和ケア研究振興財団による2005年と2008年度に一般の人1010人を対象にアンケート調査した内容を集計したものです。その質問と結果から私なりに考察を付け加えました。
(考察ですから、飽くまで私の考えですが・・)

質問2-1)死に直面した場合に心の支えになる人は?
質問2-2)自宅で最期を過ごせるために必要な条件は?
質問2-3)残された時間をどう過ごしたいか?
質問2-4)?・・・・・・・・・・・?


では、一つずつ始めましょうね。
この質問は、次の「自宅で最期を過ごせるために必要な条件」にも関係してきますね。
あなたの死に際に誰にいてほしいかを考えてみましょう。しかし中には、自分の死の間際に必要なものは、人よりもお金だよ・・と言う人や、支えになるのは人ではなく、「お金」と言う人も当然いることでしょう。その場合はⅶ)ですね。
厚生労働省のデータ(2004年、終末期医療に関する調査等検討会報告。2581人のアンケート調査)では、最期までの療養希望場所は自宅と答える方が6割あるのに希望する死亡場所は自宅以外が8割強になります。6割の人が、最期になるまでは自宅で過ごしたいのに最期になると自宅以外(病院・ホスピスなど施設)を希望するというのは不自然ですね。ここにこの質問の大きなヒントがあります。自宅と施設の違いです。施設にあって自宅にないから、最期は施設を「希望せざるを得ない」というのが、真意だと思われますね。逆に、施設になく自宅にあるものを求めて、最期までは自宅で療養したいという事になりそうですね。

この質問は、ある意味では非常に興味深い質問ですね。あなたが癌末期で、いよいよ病状が進み、「残された時間」という非常に厳しくも平等に必ず訪れる時が来たとする・・という状況をまず想定して頂きたいですね。しかし、そんな状況はその時にならないと分からないと申される方も多いかもしれません。その場合は、この質問をこう変えても良いと思います。
「あなたの癌が奇跡的に治ったとします。あなたは治ったら何がしたいですか?」
各々の選択肢の前に、「私の癌が治ったら・・」を挿入してみて、あなたの心にしっくりくれば、きっとそれがあなたの回答だと思いますよ。
それでも、癌末期が治るはずがないでしょう・・と言う方の為にⅳ)が準備されていますが。

この質問は、難問と言うより不適切問題として削除されるかもしれません。聞いている事は一般的な事ですが、ある意味では、病気の本質、健康の本質に関わる質問だと思いここに取り上げました。

さあ皆さん如何でしょうか?
実は以上の質問に正解などありません。あなたの思いや序列が、まさにあなたにとっての現状であり正解なんですね。
一応、設問1-1)は私の考察を、1-2)は原文を、設問2はアンケート結果を記載しますね。

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【ストレスとは】

設問1)質問1-1)
まず、基礎として「ストレス」とは何でしょうか?実はこの問題はとっても大切な問題です。現代病と言われる「癌」であろうが「うつ」であろうが、その原因はつまるところこの「ストレス」にありそうです。ですから、ちょっとこのストレスについて、一緒に考えてみましょう。

1)は、通常に言われるストレスですね。2)3)は、ほぼ同類の内容ですが、面白いのは4)ですね。
なんと、外的圧力だけではなく、われわれ内部に存在する、「反発力」をストレスと言うんですね。でも、皆さん、思い出して下さいね。中学校の頃の物理で「作用と反作用」って、学びましたね。力が均衡した状態とは、「作用と反作用が拮抗し合って安定している状態」を言いますよね。実はこれを、簡単な等式で表すことができます。
物理ではこれが均衡した状態ですから、この等式では1になりますが、これを現実社会に置き換えるとどうなるのでしょうか?外的圧力とは、そのまま私たちを取り巻く「現実」と置き換えることができますね。問題は、内的反発力です。内的反発力を、「私達内部でおこっている現実に対抗する力」と書きかえることができますね。
ところが問題は、私たち人間の内部(心)は、機械とは違って複雑ですね。理性や思考や感情がある。つまり、われわれ内部に、現実に対しての願いや、思いこみ、値ぶみがある。いずれにしても、漠然とした「こうだったらいいな」「きっとそうだよ」という「願い」の世界なので、分子は非常に不安定なんですね。私はそれを「理想」と書き直してみました。
すると等式は以下のようになります。
この式は一体どういう意味を持つのでしょうか?具体的に見てみましょうか。

【ストレス式の具体例】
あなたが、ある仕事をしました。通常ならこの仕事は5000円は貰えるとあなたは思っているとします(理想)。袋を開けてみて、5000円なら、納得ですね。これはストレス1(5000/5000)です。しかし、もし袋の中身が1000円しか入っていないとなるとどうなりますか?先の式でいうと、ストレスは5000/1000=5です。つまりストレスは1から見れば5倍ですね。同じく、もし袋に10,000円入っていたとします。5000/10,000=0、5(1/2)ですね。ストレスは半分になるどころか、きっと大喜びですね。さあ、ここで大切な事は、袋の中は現実です。1000円であろうが、10,000円であろうが、いくら入っていようが、それはあなたは決められないし変えられないですね。しかし、この現実にある人は喜び(ストレス小)ある人はがっかりしている(ストレス大)としたら、一体何が違うのでしょうか?
そうですね。理想です。幾らくらい?の値ぶみ額が違うわけです。理想は「こうだったらいいな・・」という自分の思いですから、自分で変えられる。ここがポイントです。つまり、実はすべてのストレスは、現実は変えられないのに、現実を変えようとしますが、これは不可能です。なぜなら決まっているからです。現実が正しいかどうかはここでは問いませんよ。起こっている出来事がストレスか否かは、実はすべてあなたの理想、つまり感じ方、思い方にあるという事なんですね。ここはとっても重要ですね。
ストレスの本体は、あなたに起こった外力ではなく、それをどう受け止め感じ行動するかという反発力が主体だという事なのですね。

【ストレス対策】
何であれストレスが大きいと感じている人は、翻訳すれば、あなたはあなたの思い込み(理想)と現実のギャップが大きいと嘆いている事と同じなんですね。ですから、一番大事なことは、まずあなたのどこにその「理想、思いこみ」があるのか気がつく事なんですね。でも、そこが難しいところなんですね。気がつきにくい理由は簡単で、「思い込み」とは空気のように透明で軽く、しかも頑丈なベールを纏っているからです。しかし、心の耳を澄ましてみると、何とこのベールは雄弁にしゃべるのが分かります。あなたの思い込みを刺激する事態が起こると、あなたの心の真ん中から感情とともに言葉が出ますね。その言葉とは「冗談じゃない!だって当然だよ~!あったり前でしょう!常識じゃない!それが普通でしょう!」ですね。だから逆に、もし、あなたの中で、こうした言葉が呟やかれたら、「やったー!!しっぽ捕まえた!」と思って間違いないですね。自分の心の癖、ストレスの元凶を掴まえたことになる。そしてこの言葉が出る時に感情も伴う事が多いですよ。「む~」とか「か~」ですね。こちらの方が先かも知れません。その時に、難しいかもしれませんが、一度心にSTOPをかけて、ちょっと深呼吸でもして、よく心を見てみると良いですよ。必ず、あなたのストレスの御本尊がお目見えしますから。
そして、本当にご本尊を拝めた人には変化が生じます。変わろうとしなくていいのです。自ずと変わる、変わらざるを得ない。一つ思い込みが減り、ストレスが減り、病気が減り健康に近くなります。

【ストレスのない人はない】
そして、もうひとつ大事なことがこのストレスの式から考察できますね。
それは、「ストレスのない(0)人はいない」という事なんですね。ストレス=0とは、生きる上において、現実が0か、理想が0という事です。(または両方)つまり、現実がないとはあなたという存在そのものがない事になります。理想がないとは、生きる目的がないことになる。つまり、生きがいのない人は、生きる目的がないに等しく、その場合分母は0、つまりストレスもない代わりにあなたの存在も0になる。つまり、自殺をされる可能性があるという事になります。ややこしい事を書きましたが、ここで申したい事は、ストレスを無くしましょうとよく言いますが、実は生きる以上ストレスのない人はないのであって、大事なことは、頑張らず諦めて「ストレス1」を目指すことなのかもしれませんね。「分相応」という事であり、お釈迦様の説かれた「全てがあなたに丁度いい!」を目指す、受け入れるという事のようですね。

【ストレスは癌の原因か?】
では、本当にストレスは癌を作るのでしょうか?つまり、ストレスは物質化するか?という問題を考えてみましょうか。
結論から言いましょう。ストレスは物質化しますよ。あまりに有名なアインシュタインのE=mc2(E:エネルギー、m=物質、c2=光速の2乗)の公式から、エネルギーEと物質mの間に=が成立しました。この式からm=E/c2になります。つまり、通常はあまりに小さな係数(1/c2)のため、物質化したとは思えませんが、間違いなく、エネルギーは物質を生んでいます。エネルギーとは「仕事を為し得る能力」と中学校の物理で習いましたが、実はこの式から、なし得る能力は、常に念じ続ければおのずとEが大きくなりc2と同等のエネルギーとなった時に初めて1という物質化が完了することになります。
あなたが悲しい時、悲しみのエネルギーは、涙という物質を生むのです。
まさに松山出身の詩人坂村真民先生の詩「念ずれば花開く」なんですね。

【なぜストレスがあるのか?】
さあ、ストレスの考察の最期は、なぜストレスがあるのか?ですね。
ストレスの式から、ストレスのない人はいません。生きている限りストレスはあるという事です。だから、お釈迦さまも、四苦(生老病死)の冒頭に「生」を置かれたのだと思います。しかし、われわれはそれを知って生まれてきたとするなら、「ストレス」を経験するために生まれてきたと言っても過言ではありません。私たちは、ストレスと出会いたくて生まれたのです。
そうです。ストレスとは「乗り越えるためにある」のです。

質問1-2)
表1は、ストレスとはその人が持っている意味のある何かをなくした時(対象喪失)の状態とも言えます。では、喪失体験として「非常にストレスの多い状態」とは何か?
回答1-2)1.配偶者の死 2.離婚

当然!という方から成程!という方まで見えるのではないでしょうか?時には、自分のストレスの種とさえ思っていた、その存在が実は離れてみると、人生最大の損失であり、最も大きなストレスだったんですね。そして、これは在宅での看取りの体験を通して、間違いありません。良く喧嘩する夫婦に一言、「喧嘩できる相手がいる事に感謝しなさい」と言われた方がみえますが、亡くなられた伴侶の写真の前で、背中を丸めたたずまれる姿はまさにこの境地だと感じずにはいられません。喧嘩してでも良いから生きていて欲しかった・・・・。何でもそうですが、失って初めて分かる有難さですね。
そして、表2を見てください。これは、先にも書きましたが、ストレス点数表の日本バージョンです。
大阪樟蔭女子大学夏目教授の提供ですが、これはやはり日本の文化を象徴している部分も垣間見られますね。いずれにしても、配偶者との死別は最高得点(83点)にランクされています。日本人らしいのは、第2位に会社の倒産(74点)を上げていますね。また会社の倒産が、親族の死よりも上である点がこれまた日本らしいデータだと思いました。
Freedman(表1)では2位だった、離婚は72点で会社や親族(家柄)を優先する日本人の文化の象徴にも思えました。

(表2)
設問2での回答は、質問の選択肢の順番が、そのまま正解順に記載してあります。つまり、質問どおりが結果順です。上から順番に(1)(2)・・の順番で見てください。

質問2-1)死に直面した場合に心の支えになる人は?
結果)(1)配偶者(2)子供(3)友人(4)医師

考察)
先のもっとも大きなストレスとは?と、ある意味では同じ結果となりました。同じではないかもしれませんが、先のストレスの点数評価と一緒に考えると、心の支え度?として、点数化できそうですね。自分の死に直面したとき、「心の支え力」とでも言いましょうか?配偶者100点。子供(親密な家族)63点。友人(親密な友人)37点。医師はないので、医療的な安心点とでも言えますか?どれだけ、医学的なサポートがあっても、家族(配偶者・子供)に、勝るものはないという事ですね。しかし、配偶者が亡くなれば、遺された人はもはや100点の支えになる人はいないのでしょうか?私は違うと思います。在宅の経験から、実は配偶者は亡くなっても有難いもので、あちらから応援してくれます。「先に逝っていて逝き先も分かっているから、大丈夫だよ。必ず迎えに来てくれますからね。あなたは後をついてゆくだけですよ・・・」私も患者さんも逝ったことはないのに、この言葉は変に誰も納得して下さいました。配偶者とは死んでも助けてくれる、有難い存在なんですね。

質問2-2)自宅で最期を過ごせるために必要な条件
結果)
(1)介護してくれる家族がいる。(2)急変時の医療体制がある。(3)家族に負担が
りかからないこと。(4)自宅に往診してくれる医師がいること。


考察)先の質問からみても、どうも「家族」がキーワードですね。先の、最期の療養希望場所が自宅で死亡希望場所が施設である大きな理由は、じつはこれも「家族への愛」だったんですね。家族への愛とは、詰まるところ、「一緒に居たい」という願いに他なりません。それは、愛しているからなんです。しかし、同時にこれは苦悶を生じます。愛するゆえに苦しませたくない。人が最期を迎えるとは、明らかに身体動作、生活動作が低下します。歩けなくなり、食事も自力で不可能、トイレも不可能になります。できない分、生きるためには、誰かの介助が必要になる。迷惑をかけることになる。だから、最期は施設へ入ることを希望されるのです。
ですから、もし、本当にそのまま療養場所で死にたい場合に何が必要か?それは、家族の覚悟ですね。もはや、患者の「家族に迷惑をかけたくない」という気持を凌駕するものは、医療行為や慰めではなく、家族の覚悟の上の「大丈夫。家に居て」という言葉なのです。そして、家族が「家に居て」と言われたら、患者は素直に「迷惑かけるよ。ありがとうね。また、恩返しするからね・・・」と申して欲しいのです。そのために我々医療者はサポートしますので。できる限り。安心剤として。

質問2-3)残された時間をどう過ごしたいか?
結果)
(1)「家族と過ごす時間を増やしたい」(2)「趣味や好きな事をして過ごしたい」
(3)「これまでと変わらない生活スタイルで過ごしたい」


考察)これこそが、まさに癌を治す目的であり、生まれてきた目的ではないかと思っています。残された時間と言っても、思えばわれわれはすべからく、全ての人が生まれた瞬間から死に向かい残された時間を生きている事になります。病気の末期だけが「残された時間」ではないんですね。そんな状況が事実であるにも拘わらず、末期と宣告されていない私たちは如何に呑気に(余裕で)生きていることでしょうか。だから、慣れとは恐ろしいもので、「明日も同じように陽はまた昇る」と信じているのです。先にも書きましたが、慣れは、当然(常識、当たり前)になった時に、事実を隠します。
恐ろしい事です。
もう一度書きますね。今生きているあなた。あなたも「残された時間を過ごしている」のです。そう思うと、質問自体も以下のように言い替える事が出来ますね。

(1)私たちは、家族と再会するために生まれてきたのです。
(2)私たちは、本当にしたい事があって生まれてきたのです。
(3)出来る事なら、この状況を少しでも長く一緒に居たい。

【事例紹介】

過日、ある65歳の男性が食道がんで亡くなられました。奥さまは、本当に良く介護されました。事の道理を良くわきまえ、よく分かる方でした。ご主人の病気も良く理解され、自分がどうしたいかのためにどうするべきか、それをご主人に確認し依頼し、拒否されたら引くという、癌末期のご主人への一杯の思いを持ちながらも決して強制しようとされない大人の対応をされるご夫婦に私は円熟した夫婦関係を垣間見る思いでした。しかし、ご主人は徐々に体力が落ち、来るべき時はそこまで来ていました。私は、この奥さまに現状をお話ししました。「あまり時間はありません」と。奥さまはこくりと頷かれてから、しばらくは感情を抑えるかのようにうつむかれ、しばらく考えてみえるようでした。そして、暫くしてから、奥さまは私にこう申されました。「先生、言われることは頭では理解できます。でも、心まで落ちないのです。先生にもう時間がないと言われても、私は主人ともう一度暮らしたいのです。彼は元気になります。そして、娘の子供をお風呂に入れて、私はキッチンで夕餉の支度をするんです。私はそうしたいんです。普通の生活をもう一度・・」私は、「今まで、そうされてきたんじゃないですか?」と聞きました。奥さまは「してきました。でも、こんな気持ちではありませんでした。もっと一緒の時間を大切にしたかった。ですから、もう一度だけ・・・私は主人と一緒にいたいんです・・・」私は何も言えませんでした。ただ「・・・そうですね。そう出来るといいですね・・」としか。その翌日、ご主人は旅立たれました。
奥さまのこの願いはきっと成就するでしょう。きっと、このご主人と来生も一緒になりともに生きることになるでしょう。
後日お参りに伺いました折、新しい仏壇の遺影は、今は亡きご主人のふくよかな笑顔がありました。恰も来生、奥様との再会を確約されている様でした。
明日も今日と同じようにやってくる。通常はその通りですが、決してそれを「当たり前」「当然」「普通」にしないでくださいね。来るべきその日のために。その日の後悔を最小限にするために。その為に、毎日を「のべ」で出会う練習をしましょうね。最も出会いたかった伴侶に、「今日はますますいい女」、「・・いい男」なんて言えませんか?かつて結婚した当初は言ってましたよね?だから結婚したんでしょう?毎日初心(うぶごころ)ですね。毎日新婚ですよ。これが、最期の時の後悔を少しでも減らす最上の方法なのかもしれませんね・・・出来そうですか?私もがんばりますから。


質問2-4)さて、この質問とは何でしょうか?性別、年齢などあまり大きく関係なく、7~8割の方がYESと答えが返ってくるような質問ですね。
答え)「大病や大けがで生き方が変わったか?」という質問が回答で
す。

考察)だれも病気や大けがなどしたくない。だから健康でいたいと願うのに、人間とは不思議なもので、病気や大病を患うほどに優しくまた強くなります。結果論ですが、7~8割の人に生き方を変える、その人の人生の価値観を変えるとは凄い事ですね。あれだけその人の頑固さを打ち破ることが出来ないのに、何と病気はそれが出来してしまう。そして殆どの生き方が変わる場合は、良い方向へ変わります。
すると、間違いなく、病気は、健康への入り口ですね。
そうしてみると、実は「失敗」「挫折」「困難」「病気」「障害」とは、今のあなたから、より強く、より優しく、思いやりのある新しいあなたをこの世に生み出すための神の計らいなのかもしれませんね?(或いは、生まれる前にあなた自身が自分でその様に予定を立てたとも思えますね。)
病気自体はもちろん推奨できませんが、「過ちは改むるに憚ることなかれ」ですよ。いつの時代も性別年齢関係なく、摂理はあなたに問うているのです。
その生き方でいいの?と。

さあ、如何でしょうか? 回答を見て頂いて分かっていただけたと思いますが、実は順番はあまり大きな意味はありませんね。内容が大切なんです。
今回は、あなたの病気の原因であるストレスとはあまりにあなたの近くにあるけれど、実はそれは本当はあなたにとって最も大切にすべきものであるという事。ストレスのもとは外にあるのではなく、あなた自身の思い込みや間違った信念に原因があるという事。
しかし、同時にストレスとは、病気の原因でもありますが、その病気すら新しいあなた、強く優しく思いやりのあるあなたを生み出すために生じたのだという事。

【ストレスの本当の意味】

こうして見てくると、徐々に全体像が見えてきますね。
私たちは生まれながらにして、すでに「より強い、より優しい、より思いやりのある人間になりたい」という願いを持っていたんじゃないかって思えますね。だから、その通りの人生になっていないと本人が感じると、それをストレスと感じ、ストレスだから、避けようと、乗り越えようと生きる。そして、このストレスの向こう、病気の向こうには、ストレスを乗り越えた者のみが体験できる、病気や障害、困難、挫折を乗り越えた者だけが体験できる境地がある。その存在が一番のストレスと思っていた配偶者とは、実はあなたの人生になくてはならない一番の存在であった。いつも一緒にいるのが当たり前すぎるあなたの家族とは、実は最期の最後も最も一緒に居たい人たちだった。そんな事を言われても、そんな気持ちになれないな・・と思われても安心ください。あなたの最期は必ず来ます。その時にあなたは究極の体験をします。死です。障害や病気もあなたの普通が奪われる苦しみが、延いてはあなたを強く優しくすると思えば、肉体生命の全てを捨てる極限の体験(死)は「何をか況や」でしょう。きっと死のあとには、今より遥かに強く優しく思いやりにあふれた魂になられることでしょう。
そうなることは間違いないので、何もあわてる事はありません。
今、目の前のストレスこそが、あなたを成長させるプログラムです。そう簡単に乗り越えられないからストレスなのです。しかし、そのストレスとは乗り越えるためにあります。
そのために生まれても来ました。
ストレスの乗り越え方は分かりましたね。
ストレスの原因は、あなたの理想ですよ。乗り越え方のコツは配偶者、家族ですよ。あなたが付けている点数は何点ですか?100点のパワーを持っている事に気が付くこと。ね?簡単でしょう?え?余計にストレスですか?でもきっと私たちはその力を持っているのだと思うのです。ともに頑張りましょうね。