コラム

癌からのプレゼント

船戸崇史

現代西洋医学はEBM(Evidence Based Medicine)が基本です。「根拠に基づく医学」という意味ですが、つまり全ての医学的結果には根拠、原因、理由があるという意味です。

一方「生きがい論」の元福島大学の飯田先生は「意味が現象に優先する」と言われました。この二つを融合させると、「癌という現象(結果)」は「根拠、理由があって出現したと同時に、何らかの意味も持っている」となります。さて、皆さんはどう思われますか?

私は沢山の癌診療をする中で、まさにその通りであると感じてきました。それどころか、癌の意味とは癌発生の理由とほぼ同じであると確信するに至っています。癌を治すとは、本当は癌の原因を除去する事が原則であり、(当然ですよね)加えて時間稼ぎとして現在の癌を出来るだけ取り去る事が重要だと思っています。

癌の原因を取り除くには時間がかかる事が多く、少なくとも目に見える(画像診断で5mm)になるまでに10年近くは、身体の免疫力(抑止力)が働いていても尚大きくなった経過を考えれば、まず癌は除去しないと、本質転換できる前に時間切れになる可能性があるからですね。押して言えば、今現在が、手遅れと言われようとも、それは西洋医学的に除去出来ないという事であり、気持ちを大きく転換して、10年かけて大きくなったなら、まずこの10年を全く転換する意気込みを持って生き方を変えれば、変わった分、必ず未来は変わるはずです。その中には奇跡的治癒という現象も起こるのでしょう。西洋医学的にも実は人の死亡率は100%ですが、癌末期の死亡率は100%ではないのです。「奇蹟」とは「ある」から「起こる」のです。しかも起こると信じている人しか起きません。

闘病意欲と生存率

因みにここで面白いデータをご紹介しましょう。癌治療における闘病意欲と生存率の関係です(図1)。1984年、K.W.Pettingaleの報告ですが、大変興味深いデータが示されています。

この報告によると、癌と宣告されて、「闘争心で対応した人」が最も延命が得られ、「絶望感を持った人」が最も生存率が低い。このグラフでは興味深いのは、「病気を否定した人」と「冷静に受容した人」では、否定した人の方が生存率が高い点ですね。

詳細は不明ですが、「病気を否定」とは、やはり「でも生きたい」という表現であり、「受容」を「諦め」と解釈すると「生きる意欲」の順序として納得できます。

いずれにしても、病気を治すという意気込みが大事である事が分かります。そして、根本原因を除去することこそが「治す」事になるのであり、その為には、癌の意味、癌出現の理由を良く知る事が重要です。


(図1)癌患者の闘病意欲

しかし、私自身の経験からも、癌の理由や意味はなかなか気が付けないものです。それくらい癌細胞は潜攻するとも言えますし、自分自身だとも言えます。また気が付けないくらい貴方にとって当たり前の中に潜んでいるとも言えます。つまり、貴方の「当然でしょう!」の中に癌の原因があるという事なのですが、当然故見えにくいですよね。

そこで、私は、自分の癌の原因に気が付く縁として「癌の声を聞くシート」をお渡ししてきました。このシートは、取り組みの中から癌の言い分(=癌出現の原因)に気が付いてもらうためのシートです。

きっと皆さんの癌予防になるだけではなく、生き方の一助になるのではないかと思っています。皆さんもともに感じてみてくださいね。

「癌の声を聞くシート」の調査結果

対象

平成18年10月から平成20年3月までの約1年半の間で、38名の癌患者さんにご協力頂けました。

  内訳は男性8名、女性30名(図2)。

   年齢は、
    30歳代  5名
    40歳代 10名
    50歳代  6名
    60歳代 14名
    70歳代  2名
    80歳代  1名

   平均年齢 53,4歳でした(図3)。

 
(図2:男女比)


(図3:年齢)


癌の種類

癌の種類は右の図の如く、女性が今回のアンケートでは多い事もあり、
   乳癌   8名
   子宮癌  7名
   胃癌   6名
   肺癌   3名
   膵癌   3名
   大腸癌  2名
   卵巣癌  2名
   悪性リンパ腫  2名
   食道・肝癌・白血病など 各1名
 でした(図4)。

 
(図4:癌の種類)


当院受診までの治療経過

また、当院受診までの治療経過としては、西洋医学的治療(手術、抗がん剤、放射線)を受けて来られた方は34名(89,5%)で、4名の方はこうした治療をすることなく来院されました。確かに、「西洋医学的な治療は嫌だ」と申される人は今でも一定の割合おられますね。でも、私は「治療方法があるなら恩寵と思って、何でもチャレンジしなさい」と言います。勿論本人が治したいならですが・・。

また、補完代替医療(以下CAM)も28名(74%)が行なってみえます。この内26名が、機能性食品、サプリメントで、続いて漢方薬、温熱療法でした(図5)。私の体験では、高濃度VC点滴療法の様に、医師が関わって全国的に医学的検証を重ねているCAMもある一方、明らかに儲け主義としか思えないような業者もあります。殆どは、機能性食品やサプリですね。玉石混合の世界ですので、最終的には貴方自身の自己責任で対応するしか対策はありません。最も有効な見分け方は、(帯津先生によると)業者の人相だそうですよ。後は法外な値段。

 
(図5:来院までの治療経過)

中には、CAMだけで治そうとされる方もみえますが、私の体験では、癌は総合戦力が必要です。イソップ童話ではないですが、旅人のマントを脱がす(癌を治す)のに、北風(西洋医学)ではなく、太陽(CAM)の方がよいと思ってみえるのかもしれませんが、時には、北風と太陽が反対の時もあります。抜けない釘と一緒で、押しても駄目なら引いてみなと、柔軟な思考法、対策が大切です。



癌のイメージ

これは、カラーでお示し出来ないのが残念ですが、皆さん癌には色々なイメージを持ってみえます。アンケートでは、大きさ、色、温度、表情、硬さ、表面の性状、性別を聞きました。
これは、私自身が「癌が出来てきた原因は、癌細胞が一番知っているから、癌の事は癌に聞け」と、対話をスムースにする為に、相手をイメージした方が話しやすいのではないかと考えたからなんですね(図6)。

すると色々出てきました。多いのは、丸く、5~10cmくらい、黒っぽく、無表情な男の子のイメージですが、赤い怒りの表情もありました。しかし中には、明るく微笑んでいる女の子のイメージやカラフルなアメーバというイメージも出てきますが女性患者に多いですね。男性患者は全て、黒か赤、無表情か怒りの男の子でした。(ちなみにドイツ語でも癌は男性名詞ですが・・)

そして、大事な事は、この後に正常細胞をイメージしてもらい、どうしたら現在の癌細胞を正常細胞に近づける事が出来るかを一緒に考え実践するのです(図6)。

 
(図6:癌のイメージ)


癌の原因

次に癌の原因について聞きました。癌の原因は肉体的要因、精神的要因、社会的要因に分ける事ができました。

肉体的要因で、癌の原因として多く見られたのが睡眠不足、過労、食事の不摂生(量、質、食事習慣など)嗜好品(タバコ、酒)運動不足などが、複数の要因としてあがっています。中には、肥満、ピロリ菌から内服薬まで原因として挙げられていました(図7)。これらは、単独と言うより、複数を長時間継続した為というケースが多かったですね。

 
(図7:癌の肉体的原因)

精神的要因では、多くが「性格に由来するストレス」でした。その性格とは、真面目、一生懸命、努力家、強い責任感、強い義務感、頑固などを挙げていました(図8)。

最後に社会的要因では、会社や家族であっても詰まる所人間関係に依存しています(図9)。


(図8:癌の精神的原因)
 
(図9:癌の社会的原因)

そして、これら3つの要因は互いに複雑に絡みあい相加的、相乗的に影響しあって、大きなストレスとなり、これが年余に及ぶ時についに癌が登場するようですね。



癌登場のシナリオの1例

真面目な頑張りやで責任感ある性格なので、仕事が出来る(=同僚から妬まれる?同僚との人間関係ギクシャク?また、超勤が多いために毎日午前様で家庭内もギクシャク?)しかし、会社では信頼され上司から評価される。(=もっと頑張ってしまう。休みを取らない、取れない=体力、精神の疲弊)より仕事が回ってくる。すると、ますます頑張る(=肉体的疲弊増悪)ので、仕事は出来るかもしれないが、同僚や家庭生活はますます険悪(=人間関係崩壊)となる。本人は疲れても頑固なので人に頼めず頑張る。ますます睡眠は不足し免疫力は崩壊しある時に癌登場。家系や両親が癌なら、より短時間で発生(癌化)する可能性あり。

ここで大切な事は、無理の結果登場した癌とはいえ、自分(のライフスタイルの中)で作った病気だという自覚ですね。われわれが、創造主なのです。「癌を治すのは奇蹟だ」と申される方が見えますが、癌を治すのが奇蹟なら、創るのはもっと奇蹟です。一度奇蹟を起こした人なら、また起こせるはずです。大事な事は、諦めない事です。

さて、これら原因のすえ出現した癌ですが、冒頭にお見せしましたように、この病気に対して私たちがどういう姿勢で取り組むかで、その後の生存率は変わります。私の経験上、闘病姿勢は、命に関わる病気であればあるほど、その人の「死生観」に依拠する処が大きいと感じてきました。癌=死でなくとも、死をどう捕えているかが、延いては癌への覚悟となり闘病意欲へと結ばれてゆくのです。つまりは、死生観の深さは、それはそのまま癌への闘病姿勢となって表現されるのです。

そこで、次に死生観について尋ねました。

死生観

死とは?死んだらどうなる?について聞きました。アンケートの殆どは感情として「怖い、恐怖」という表現があり、1人だけ「怖くはない」と記載されました。
また、死後の世界観は大きく2つに分かれました。死は全ての終焉であり、無であるという考え方と、「あの世」はあるというグループです(図10)。

つまり、「死後の世界観」と「死に至る感情」は別である事が表現されたと思います。しかも、この違いはこの後の調査項目に顕著に違いとして表されました。

 
(図10:死生観は?)


癌体験前後の人生の自己点数評価

それは、癌体験前後の人生を点数にて総合評価してもらうという調査です。調査は「癌になる前の人生の点数と癌になってからの人生を100点満点で点数評価してください」と言うものでした。

すると、グラフの様に、癌前より「低下した人」が5名、点数が「上昇した人」が20名、そして「変化なし」は3名でした。つまり、それほど怖く、遠ざけたい病気でありながら、現実的には癌になり、自分の人生は、癌の前の人生より点数が上がったと表現されたんですね。(図11)。

 
(図11:癌前後の自己点数評価)

内容は、概ね10~30点上昇が多く、しかし、上昇しても100点になる事がないのは、実際に現在闘病中であり100点満点ではないからとの回答が多くありました。同時に、下がった4人は、この物理的な癌による制約(食べられない、動けない、抗がん剤の辛さなど)を中心に評価されていました。

そして、先の「死生観」のアンケートと突合すると、人生の自己点数が低下した4名は全て「死んだらお終い、無」と表現された方ばかりでした。こうしたケースでは当然、冒頭の闘病意欲があるとは言い難いですね。人数が少なく優位差は出ておりませんが、死後の生命は信じた方が、闘病意欲は鼓舞される可能性が期待できると思われました。



癌治療の目的

次に、癌が治ったら何がしたいか?を聞きました。つまり癌治療の目的です。私たちは兎角、難病であればある程、治療にばかり専念し、生きる目的が「治す」事になりがちです。それは仕方ないかもしれませんが、私は間違いだと思っています。癌を治す事は、目的ではなく手段です。癌を治して、本当に貴方のしたい事をするために治すのだという事を思い出してほしいと思っています。その為に、癌治療の目的の再確認の意味で、癌が治ったら何がしたいかを聞いたのです。

複数回答で、多い順に
 ・旅行:15名
 ・家族と一緒:12名
 ・人の役に立つ:8名
 ・普通の生活:5名
 ・仕事:3名と続きました。

 
(図12:癌治療の目的)

コメントなどから、旅行というのは、現在の闘病が抗がん剤始め、食事、入院などの制約ばかりの生活からの解放を「旅行」という表現で表していると思われました(図12)。

ですから、「その後は?」と聞くと「家族との団らん」を最も多くあげられました。また、始めから「家族と旅行」という記載も多く、キーワードは「家族」と「人の役に立つ」と「サポーター」でした。また、「今まで通りの生活」とか「普通の生活」という記載もあり、これらを総合すると、私たちの人生の目的は癌を治して(手段)「家族とともに普通の生活をしながら、出来るだけ人様のお役に立ちたい(目的)」に集約できるかもしれませんね。
(加えて人生の目的に到達できる手段は色々あるはずですね・・)

しかし、何であれ私たちは癌が出現してしまいました。その為、私たちの人生は癌によって大幅に混乱させられました。「これさえなければ・・」とどれほど苦々しい思いをした事でしょう。出来ることなら、すぐ消したい。消えて欲しい。少しでも早く治したい。

そんな癌の言い分とは一体何なのでしょうか?


癌の原因1(癌の言い分とは?)

私は、「癌の事は癌に聞け」と言ってきました。そもそも癌は貴方自身の細胞であり、貴方の正常細胞が何らかの原因があって癌細胞へと変異したわけですね。ですから、きっと今の癌細胞に口をつければ出現理由を雄弁に語り始めると思います。それを心の耳で聴くのです。「今となっては癌治療法なし」と言われた人達は、一体自分自身の癌細胞からどのようなメッセージを貰っているのでしょうか?(図13)


(図13:癌の原因1)※下線は癌後に自己点数が下がった人

実に癌は雄弁にものを語っています。不思議な事に、癌が治ったら、何がしたいか?という癌治療の目的と同じ答えが癌自身から、返ってくる事は非常に興味深く思いますね。

一つ一つの癌の言い分は、どれも成程と思える内容ばかりですが、どの人も、全くこうした話し合いなどされていない人達が同様の声を聞くことにこそ、人間の不思議を私は感じてしまいます。



癌の原因2(癌になって変わった事は?)

しかし、中には癌の声が聞こえないという方がみえます。その場合私は、癌になってからの自分の人生を一度振り返って、変わった事全てを書き出してみる事を提案しています。これは癌にならなかったら変わらなかった事。つまりは「癌の言い分」と言えないだろうか?という事なんですね(図14)。
(なぜか男性患者が多いのですが・・)


(図14:癌の原因2)

すると、不思議とこちらも、癌の声と同様の内容が見えてきます。

そしてさらに不思議な事は、癌になって自己点数が下がった人も、なぜか癌の原因1,2では全く否定的な文面はお目見えしないという事なんです。あれだけ、忌み嫌い消したい対象であり、恐怖の対象であったはずの癌、しかももう治らないと西洋医学で言われた人達ですら、この記載は一体どう評価したら良いのでしょうか?

そして、こうした変化は、実は本人だけのものではありません。周囲からも明らかな変化として受け止められています。


癌になってからどう変わった?(周囲からの評価)

癌の言い分は本人だけに留まりません。明らかに、周囲の目からも本人に変化ありと言われます。決して、一般的に「人が良くなる」変化ばかりではありません。「怒りっぽくなった」とか、「より我がままになった」とか、「より頑固になった」など、まさに先の癌の原因そのものとすら思える人もいますが、私は、これは「素直な自己表現」と解釈しています(図15)。

今一度癌の原因からのキーワードを書き出してみました。これこそが癌からのメッセージです。

 
(図15:癌の周囲からの評価)
感謝:11 素直:7 家族:9 優しい:7 絆:3 自分らしく:3 楽しく:4 生かされる:3 変革:3 ゆっくり、ゆったり、おおらか:2 人の為:2 せっかち:1

これらを私は3つのカテゴリーに分類しました。
 1、「自己変革」・・・癌は貴方に「変わりなさい」を伝えるために登場した。
 2、「家族(絆)の再結」・・癌は貴方に「家族との絆を見直し結び直しをしなさい」と伝えるために登場した。
 3、「感謝(愛、生)の実感」・・癌は「感謝・愛・生の実感」を得るために登場した。

もう一度、今日の癌からのメッセージを良く皆さんで心に落としてくださいね。所謂高度進行癌の人達が、なんら基礎情報の共有なしの調査で、同様のメッセージを癌から貰っているのです。それなら、今後癌を持つ人も(現在日本人の2人に1人)、既に転移して、やはり癌のメッセージなんて分からないという人も、きっと、同様のメッセージが癌から届く可能性があるという事です。それなら、今から生き方を見直しましょう。何も、癌が出るまで待つ事はありません。しかし現実的には、その時にならないと分からないかもしれません。それなら是非、知識としてお持ちください。癌は何を貴方に伝えようとしているのか?

そして、こうして、癌の意味、理由を本当に聞き、心改めて、生き方を転換した人の中から高度進行癌ですら治癒する人が登場するのでしょう。

なぜ、癌を難病というのか?それは、癌が「治り難し」ではなく、癌の声を「聴き難し」なのです。しかし、どうか、今一度、ご自分の癌のメッセージを心を澄まして聞いて頂き、そして、さっそく実行してくださいね。実行すると身体は変化します。変化は身体の中で間違いなく癌細胞は感じます。何時の日かきっと癌は間違いなく、正常細胞へと戻る事でしょう。癌細胞が生きているからこそ出来るのです。恰も、テロリストが、娑婆の人間へと戻るが如く。彼らも人の子。好きでテロやヤクザになったのではないはずです。きっと、知らぬ間に、ある瞬間に私は癌スイッチが切れて元の細胞へと変化するイメージを持っています。恰も、氷が水に変わる瞬間の様に。大切な事は「実行」です。



まとめ

私は、今回の調査の結果を見た時に、一つの言葉が頭をよぎりました。それは「Onenessワンネス(ひとつ)」でした。

もし、この世界に神がおわすなら、神は「私と一つである事を思い出せ」と申しているのかもしれないと思いました。貴方の命を奪うかもしれない癌ですら、実は「お前を殺しにやってきた」とは言っていなかった。自己変革、家族の再結そして感謝の実感を貴方に伝えにやってきたのです。癌とはOneness復活のメッセンジャーだったのです(図16)。

なんと癌とは愛ある家族のようではありませんか。


(図16:まとめ)                       Oneness!

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