「奇蹟の医療」をめざして船戸崇史
平成6年2月6日にクリニックがOPENしてお陰さまで満18年たちました。 この朝礼をそのまま、失礼ながら読者の皆さんを当院の職員だと思ってお話し形式で書かせて頂きますね。 さあ、今日は当院のスタッフとして「求められる職員像」のお話しをしますね。過日あるテレビで、「現在の沈滞した日本は、あらゆる分野で停滞している・・それは画一化した人間が多すぎて、リーダーがいない。 リーダーになろうと言う若者がいない。なぜリーダーになろうとしないのか?そもそもリーダーとしての資質とは何か?」という番組だったんですね。私は内容から、この資質というのは決してリーダーだけに必要なものではなく、働く一スタッフも同じだと思いました。 なぜなら、誰もが自分の人生の主人公なんだからね。それで結論から言うと、その資質とは英語の頭文字で言うとMVPだったんですね。良く野球なんかで使われる「最高殊勲選手(Most Valuable Player)」みたいですがね、これも内容的にはその通りなんで、覚えやすいでしょ。 さて、これから言う、そのMVPの内容を各々自分で100点評価して欲しいんですね。素直に、自分自身に照らして、何点だな〜って感じてみてくださいね。 M・V・Pさて、そのMVPとは何の略かというと・・ 当院に欲しい職員としての資質は、この番組で言うリーダーとしての資質だったんですが、やはり自分の人生の主人公たる自分自身、自分の人生にどれ程のMVPを持っているかは、別に当院の職員じゃなくとも一個人として重要な内容ですよね。 このクリニックも、先日(H24)の2月6日で、満18歳になりました。まさに青春真っ只中ですね。当初は7名からの出発でした。今もその当時のスタッフがそのまま居て下さることは大変感謝です。 では、その当時私自身がこのMVPをはっきり言葉で表現できたか?って問われると首をかしげざるを得ません。当時、形になっているのはクリニックの箱モノなので、それが当時の私のMVPの形だったのかもしれません。 それから、18年。この18年間の延長線上に今の形があります。皆さんも今から18年前を振り返ってみてください。その当時、皆さんは何をしていましたか? 18年後に、今この席で、隣の人と一緒に同じ時空間を共有しているなんて想像できましたか? 私自身、18年前に、具体的に今のこの状態をVisionとして、描いていた訳ではありません。でも、「この地域に根付いた地域医療をしたい。 この地域で生まれ、生き、逝く事の医療的サポートしたい」とは思っていましたね。これは今も全く変わりません。それどころかより強くなっていますね。 10年ターム概ね10年だそうです。10年が一つのタームです。今貴方が何をしたいか?って突然問われても難しいと思っている人は多いかもしれません。 しかし、それを見極める方法があるんですね。「過去の10年間」です。今のあなたの全ては、過去10年間の貴方のMVP、したい事(使命感、展望、情熱)の結果なんですね。 人生は長く感じても、一瞬一瞬の連続ですから、その都度、皆さんは「したい事か?否か?」というバロメーターで見極めて最高の選択の結果が、「今」(現状)なんですね。 これから先が見えない時には、過去の10年を遡れば、皆さんの志した方向性が見えてきて、今から先の参考になると言う訳ですね。方向性はそんなに変わらないからね。 18年前に、今この席に座っているなんて思ってみなかったでしょ?でも、この18年の連続した選択の結果、皆さんはここにいる。 「過去と他人は変えられませんが、未来と自分は変えられる」と言いますが、これから先の展望をどうするのか?が分からないと言う人は、まず現状(この10年の結果)をよく分析して見て下さい。 それが分かれば分かるほど先も自ずと見えてきますからね。 3人のレンガ職人Visionの重要性を思う時、私は一つの言い伝えられている物語を思い出しますね。「3人のレンガ職人」の話です。 これは色々なバージョンがあるようで、石切り職人だったり、4人だったりするようですが、エッセンスは同じなので、今日は「私の聞いた」3人のレンガ職人の話しをさせて下さいね。 『旅人がいました。彼は、旅に出ました。途中A、B、Cという街を通りました。 それから、10年がたちました。旅人は10年前と同じ旅に出ることになりました。 私は誰が良いとか悪いとか、そんな話しをしているんじゃないのですね。私たちは、自分の願いのようになる、時間がたつと結実するという事じゃないでしょうか? さあ、皆さんは如何でしょうか?概ねこの10年間を良く分析すれば先の10年も見えてくると言う意味が分かって頂けたと思いますね。 子どもがテストを受けて、皆さんなら100点評価で何点くらいならOK(可)を出しますか?そして、何点なら満足(優)でしょうか?その段階を自分に当てはめてみてください。 先のMVPそれぞれ、何点でしたか?勿論、優なら現状のままでよいと思いますが、その点数が可以下と言う事は「今のままではいやだ」「もっと変えたい」という評価になるのでしょうか? さあ、問題はここなんですね。可以下の人。先のM「使命感」V「展望」P「情熱」が、可以下だという事ですね。 じゃあ、これらMVPを「もっと強く持たなくては!!」となる所でしょうが、そう思ったからと言って持てるものではありませんね。 況や「どうすべきか?」という「べき論」では決してこの答えは出て来ません。 MVP、「使命感」「展望」「情熱」とは「義務」ではなく「願い」だからですね。 ここからは、皆さんが少なくとも「医療・福祉・看護・介護」の方向性を使命として持っているという前提でお話ししますね。 つまり、「使命」は現在の医療職である。この医療職の使命感を高めるものが「情熱」ですし、その方向性が「展望」になりますね。 今以上の理想的な「医療福祉介護職」イメージを如何にクリアに描けるか?が重要ですね。 私はそのコツが3つあると思っています。 ゴールの姿とは、「達成感」「満足感」「喜び」ですね。 この使命感や展望、情熱が深いレベルから興っているなら、「魂の達成感」「魂の満足感」「魂の喜び」と言えるかもしれません。 そして、その姿(形)とは?「魂の喜びの姿、形」ですね。それは、 なぜこの3つかというと、この3つこそが患者さんや施設利用者さんが、求めているものだからです。 笑顔、これは大凡最も大事じゃないでしょうか。笑顔は人間の特権ですが、周りを照らし元気にする最強のパフォーマンスですね。 笑顔の素敵な人にまず悪人はいないですね。そして笑顔のある人は、まず間違いなく「今を生きている」という事。そして「ゆとり」があると言う事なんですね。 逆に言うと、今を生きていない人に笑顔はないし、心にゆとりがないと笑顔は出ない。そんな所へは、患者さんも施設利用者さんも行きたくないじゃないですか。 なぜ行きたくないか?簡単ですね・・元気になれないからですよね。私たちは本能的に「元気になりたい」んですね。やはり「生きたい」んですね。 元気=生きる力ですからね。 感謝の言葉とは、「ありがとう」ですよ。元気に明るく笑顔で「ありがとう」なんて言われたら、間違いなく嬉しくなりますよね。嬉しくなると元気になるんですよ。 元気のない人をこれほど元気にする万能の言葉はありませんね。「ありがとう」という言葉はそれほど「有難し」の言葉なんですね。 最後に「思いやり」ですが、これは「親切」とも言いますね。これも人間の本能だと思います。 如何でしょうか?この3つの特徴は、先のMVPと違って「形から入れる」と言う事なんですね。でもね、注意が必要です。この笑顔や感謝、思いやりを邪魔しているのがあるんですね。 それが「意地」と「メンツ」と「変なプライド」なんですね。いずれもこの環を断ち切ってしまう。 過日他界したアップル創始者のスティーブ・ジョブズの言葉で Stay hungry ,Stay foolish(ハングリーであれ、愚かであれ)というのがありましたが、まさにこの愚かさというのは、「常に物事を固定観念で見るな!」という意味だと思うんですね。 意地・メンツ・プライドはまさに固定化した観念ですよ。まず、自分の中の、「普通は〜」とか「・・・当たり前でしょう」というフレーズに注意して見ていれば、自分の固定観念を見つけることが出来るし、その見方がある限り「環」が上手く回らない可能性があると言う事なんですね。 変に地位、名誉、財産のある人は不幸ですね。いや正確には、地位や名誉や財産はあっても良いけど其れに飲まれている人、囚われている人ですよ。変なプライドがある。笑顔や感謝、思いやりとはなぜか距離感がありますよね。 そう言う場合は、笑顔も感謝も思いやりも分かるが、なかなか始められない。だから、そう言う場合に必要なのは努力じゃなくて決意なんですね。そう決めて実行に移すことを決意って言いますが、その決意を継続する事を努力と言います。 なぜ決意出来ないのか?それは、「いや」だからです。そしてそれが出来ない理由をごちゃごちゃ考えて、上手に正当化する癖があるからです。 じゃあどうするか?この3つのコツの前に枕言葉を入れるんですね。その言葉とは「にもらず」ですよ。出来ない理由は一杯ある「にもらず」実行なんですね。すると こうして、まず始めてみる。形をなぞってみる。笑顔を作ってみる。ありがとうって言ってみる。大丈夫?って聞いて身体を擦ってみる。人間って、そうしてもらうと嬉しいですね。嬉しいと自ずと笑顔がり、感謝の言葉が還り思いやりも還ってくる。そうすると、それを体験した人が、最初は作り笑顔、作り感謝だったにもかかわらず、還ってくる笑顔や感謝に触発されて、本当の笑顔・感謝・思いやりへと成長し循環して行くものだと思うんですね。すると、場が明るくなりますね。癒され元気になりますね。 奇蹟の医療を目指して私が目指す医療機関とは、診療しなくともそのクリニックへ行くだけで癒され元気になれる。そのスタッフと会うだけで癒され元気になれる。 結果、病気が溶けていく。病気はもともとその人が作りました。正確にはその人の生き方が作ったんですね。それなら本当に治す方法は一つ、その人が癒されること。 医療も薬もそのサポートをするだけ。癒されると自ずと生き方が変わる可能性があるんですね。(生き方=生活。生き方の元に性格がある。 しかし、性格は変わらないので、生活を変える。すると生き方が変わり人生が変わる。不必要な病気は当然消える)私はそれを奇蹟と呼びたい。 そうなんです、私がしたい事は「奇蹟の医療」の実践なんですね。何か怪しそうな響きがあるけど、怪しくない。 漢文にある「近朱者赤、近墨者黒(朱に交われば赤くなり、墨に交われば黒くなる)」とは、まさにこの事で、光に交われば光るという医療ですね。 私たち自身がで良いから、そういうになりたいじゃないですか。 癒された空間、光る空間の作り方とは、その場で、沢山の「笑顔」があり「感謝の言葉」があり「親切な行為」がされている場・・・ 私は、MVPに一つ加える必要を感じていますね。それは、I(愛)ですが、本当はInternational sense(国際感覚)の頭文字ですね。 これを加えて、MVIP(Most Valuable International Player)ですね。(本当はPlayerもPrayerとしたいのですが・・ちょっと宗教団体の様で止めました)地球の距離が短くなったのが一番の要因ですが、多様な価値観を学ぶ必要がありますね。 日本人としての固定観念は日本でしか通用しませんからね。やはりこれからはもっと国際感覚を持つ事が重要でしょうね。 つまり、MVIP (Mission,Vision,International,Passion)ですね。 追伸2*********************************今年の当院のスローガン。思いを込めて書きました。 「私とあなたの」とは、医療の対象は常に「あなた」なんですね。医学の対象は、貴方もあれば物、事もありますが、医療は「あなた」との一対一の関係性が基礎であり中心になると思っています。 「い」これは、良く剣道などで使われる言葉ですね。 「」とは、真の愛という意味ですね。距離感を紡ぐ方向性です。本当の愛を深めること。本当の愛とは私も分かりませんが、「見返りを求めない思いやり」でしょうか? 有名な歌詞の一節に「誰かのために何かをしたいと思える気持ち」ですね。ですから、その行為が真愛か否かを見極める方法は簡単ですね。 然るべき行為の後に「**してあげたのに!」とか、「**してくれない」という気持ちがあるとすれば、それは間違いなく「見返り」を求めていますね。 真愛とは、言うなれば「無償の行為」なんですね・・難しいですが。 「まあいい」とは、「丁度良い加減」という意味ですね。「どちらでも良い」ではなく、「程よい」と言う意味です。 人間関係も程よい関係は心地よい関係であり、それを程良い間合と言い、積極的にそれを紡ぐ意思と行為(愛)が必要だと思うんですね。 きっと、心はそれを感じる事が出来て、私と貴方の間での丁度良い加減と思えた時、「まあ!何て良い」(まあいい)と感じることでしょう。 「医療と介護の実践」とは、「間合い医療」と「間合いケア」、「真愛医療」と「真愛ケア」、「まあいい医療」と「まあいいケア」を「実践」すること。
スローガンだけでは駄目ですね。拍子木叩いて、「火の用心」と言うだけでは火事は減らない。具体的に火事にならない対策を実行する事が必要ですね。
「実践」とは「行う」という事なんですね。 奇蹟のクリニック・・? 日本広しと言えども、馬のいるクリニックは少ないかも?(馬は、クリニック裏ですが・) →困惑気味の飼育係・・院長 モモちゃんとお散歩中 →買い主?の博子先生とモモちゃん |