コラム

進行癌への「生きがいの医療」とは? 

船戸 崇史

 当院での「進行した癌」についての考え方を簡単にご紹介しましょう。 

 
【1)生きがいの医療とは癌難民でも最期まで生きがいを持てる治療法】

 現在の死因の一位は「癌」です。癌にはならないが一番。
 しかし、種々治療を重ね、それでも癌が進行してしまって、主治医から「打つ手がありません」と言われた場合、難民の様に路頭に迷わざるを得ません。(癌難民) しかし、本当に私たちは「治療を諦め、生きる事を諦める」必要があるのでしょうか?
 答へは「No!」です。
 確かに主治医は正しい。 
 しかし、枕詞が抜けています。「西洋医学的には・・」です。西洋医学は強力なツールです。しかし、他にも様々な医療的ツールはあります。「進行した癌」といえども、「末期癌」といえども、この言葉はいつも「西洋医学的には」という枕詞が抜けている事を知るべきです。確かに、エビデンス(根拠)ある医療である西洋医学の結果は重視できます。
 でも、過去に一体どれほど多くの、「末期癌の生還者」がいることでしょう。一人でいいのです。末期癌からの生還者がいるという事は、私たちの中に末期と言われても「治す仕組み、治る仕組み」があるということなのです。諦める必要はありません。希望を持ちましょう。それを私は「生きがいの医療」と言っています(図1)。


【2)癌になる仕組み、治る仕組みを理解する。】

  これは、以前にもこの通信でご紹介しましたね。少々難しい表現もあるかもしれませんが、とっても重要なので、今一度右に掲載します。(図2)
 ここで、前回と重要な変更点がります。前回は、継続するストレスが、最終的には活性酸素により遺伝子を酸化し、癌化と記載しましたが、加えて、糖化という要素も大きいことが分かりました。糖化については、通信の次のチャプターに掲載しましたので、ご参考ください。(AGEって知ってますか?参照
 また、この図の詳細は通信2012、9~10月号を参考ください。





【3)癌治療の定見を変更する】

 進行癌では、往々にして心の中でつぶやいている言葉=間違った信念(癌性格)があります。
 例えば、「癌になったら終わり」。
「私はどこが悪くて癌になったか?
(癌の原因は「悪」)「他に良い治療法、サプリ、先生や施設がある?」
「助けてもらわねば」つまり、自分で作った病気なのに、治療法は他力本願なんですね。
 実は、癌はこの本質を鋭く問うてきます。常に「命」をめがけて。
 結論から言いますと、癌には言い分があります。それは、「変わりなさい」です。あなたの今の生き方にストップをかけているのです。生き方のコアである、あなたの「信念」、それゆえの「行動」、最終的に「生活習慣」が「間違っているよ」と気がつかせる為なのです。 
 だから、癌は「生活習慣病」なのです。では、どうするか?そうです、生活習慣を変えれば良いのです。確かに癌性格という性格による傾向はありますが。実は性格だけでは癌にはなりませんし、数十年培ってきたその性格は簡単に変わるものではありません。(先の信念は簡単には変えられないと言う事)ですから性格は其の儘でいいのです。
 癌治療の目的については、注意が必要です。種々治療を重ねてゆくうちに、だんだん、治療の真の目的を失うということです。(最初からの人もいますが)
 それは、「癌を治す」ことに必死になっている場合です。これは決定的に間違っています。癌治療は「手段」であって「目的」ではないということ。では、治療の目的とは、それは「あなたが癌が治ったらしたいこと」が治療の目的です。あなたは、癌治療のために生まれてきたのでしょうか?治ったらしたい事は今出来ないのでしょうか?(図3)


【4)免疫生活のすすめ】

 では、具体的にどういう生活が重要なのでしょうか?
 生活を変えると言っても、生計は立てなくてはなりません。
 よって、重要な所は、起きる時間、寝る時間、食事の時間、食事の内容、食べる速さ、量、順番、運動の有無、加温生活、呼吸の仕方、楽しく感謝した心持ちと祈りです。(図4)
 特に、身体=食事(飲み水、食材、空気)という等式がありますが、癌細胞も免疫細胞もつまりは、この食事でできています。大きく生活のスタイル全般を変える(例えば、転職、休職などは家計を直撃)事が困難でも、食材、調理法、食べ方を変える事はできますし、即効性が期待できます。
 私がよく外来で患者さんに聞いている、健康か否かは「飯うまい?昼元気?夜よく寝る?」です。つまり、ベクトルは飯=食事、昼元気=よく動く=運動、よく寝る=睡眠の3つが、重要な、健康のコツであり、免疫生活の核であると言えますね。
 そして、より豊かに人間らしく生きるために、笑い、思いやり、感謝、祈りは免疫力を挙げる有効なツールなので、どんどん実践する必要がありますね。
 目指すは、「治癒」ではなく、「変わる」=「生まれ変わり」です。新しい自分の誕生です。癌治療の後、別人になった人は、生まれ変わった人。癌は再発しようがありません。
 


5)補完代替医療の提案

 以上の1)~4)が、まずできてから、加えて提案されるのが、図5の補完代替医療です。
 これは、星の数ほど有りますが、2人といないこの世、治療法も本来全員違っていいはずです。
  しかし、人類の共通項もありますので、そこがターゲットです。玉石混合ですので、信頼できる専門職とよく相談されることがお勧めです。
 素人同士の意見交換やインターネット情報も良いですが、専門職と同列にはなりえませんのでご注意ください。大事な事は、納得し、自己責任で治療法を選択する姿勢です。









【覚悟を持つ】

 そして、癌治療後の再発規定因子の研究(スタンフォード大学)から、この補完代替療法など治療法にだけ頼るのは注意が必要です。
 先にも書きましたように、癌は生活習慣病です。進行癌であろうが、1)~4)の生活習慣の変更は最も重要ですが、再発の抑制効果からみると、生活習慣の変更は60%寄与している事が判明しました。西洋医学的治療や補完代替医療(両方を合わせて統合医療という)は10%の寄与度です。残り30%は、遺伝です。
 よって、生活を変えず、ただサプリだけ、抗癌剤だけでは癌の再発予防は10%しか有効ではないのです。それなら、1)~4)の生活習慣を変え、5)の統合医療を実践すれば、再発予防は70%の効果が期待できると分かってきました。肝心な事は、やるだけやってダメなら諦める・・という覚悟を持つ事でしょう。
 なぜなら、過去の奇跡的治癒事例は、こうして生還しているのです。



【私達はチャレンジャー】

 しかし仮に、こうした生還者もいずれは宿命が訪れます。だからと言って、訪れた試練や病気、災難に対して、何もせず初めから諦めることには反対です。まず諦めない。それが重要だと思います。なぜなら、きっと試練や病気、災難は乗り越えるために乗り越えられる人に訪れた神様からのプレゼントだからです。
 私達はチャレンジするために生まれて来た魂だと私は思っています。
 末期といえど精一杯、生きようではありませんか。私たちがサポートしますよ。