お陰様で今年2月4日で当院開院20周年を迎えました。ありがとうございました。私たちは、これからも、「全人的医療を通して、皆様の人生に寄り添い、皆様の命を守る地域医療」を実践してゆきます。今後とも宜しくご指導くださいませ。


 食と身体(からだ)のおいしい関係


船戸 崇史

 おおよそ「愛」が肉体という衣服を着て歩いているような人間・・それが、森美智代さんです。彼女はこの20年近く、一日青汁一杯(約50kcal)で生きている現代の生きる仙人です。医学的には到底証明できない事実です。しかも彼女はスピリチュアルな能力の開眼もありました。何と、少食の実践は身体だけではなく、心、精神性までも大きく変えてゆくようなのです。一体食事と身体はどういう関係にあるのでしょうか?
 結論から言えば、「食事は身体に大きく影響を与える」では、不十分です。
   「食事と身体は同じ」です。
 そうです、食事が変わると、自分が変わるという事です。自分が変わると未来が変わります。自分の未来が変わると社会が変わります。今のあなたが生き生きと元気にいたい方は、生き生きと元気な食材を選べば良いのです。あなたの未来を大事にしたい方は、あなたのこれからの食事(食べ方)を大事にすればよい。家族を大事に「家内安全」で過ごされたい方は、家族の食事を安全にすれば良いのです。それが、食事=身体という法則なのです。
 今回はその食事について、もう少し詳しく見てみましょう。



【身体と食事の関係とは?】

 身体と食事は同じ(イコール)です。ですから、健全な身体をつくる事は簡単で、健全な食事をすれば良いのです。では健全な食事とは何でしょうか?それは、健全な食材を健全な食習慣でいただくことを言います。では、健全な食材とは何でしょう?それは、今まさに皆さんが食事のために口から入る全てのものを言います。つまり、健全な野菜・穀物・果物などと魚介類肉類に加えて、健全な水、空気も入ると思います。では、健全な野菜~魚肉類とは何でしょうか?それは、身体=食事から考えると、野菜類の土であり肥料になります。魚介類、肉類ですとその飼料であり、空気に至っては環境そのものと言えますね。そうです、汚染された環境からは、汚染された食材しかできないし、汚染された食事からは、汚染された身体しかできないのです。すると汚染された体からは病気が発生しやすくなるのです。それは当然なことですね。
 しかし、現代、全く汚染されていない食材を得るのは難しいかもしれません。でも、極力気をつければ、最小限に抑えることが出来るはずです。
 そして、健全な食事のためにもうひとつ大事な要件が、健全な食習慣です。食事の食べ方ですね。誰と、どこで、いつごろ、どれくらい時間をかけてどの順番で食べるか?も極めて重要です。どれだけ、身体に必要な食材も食べ過ぎれば体調を崩します。食べ方という要素も重要なのです。
 では、どうやって健全な食材や健全な食習慣を身に付けるのでしょうか?それが「食育」だと服部先生は申されます。(「家庭の食育」服部幸應監修より)    





服部先生によると、食育には三つの柱があるといいます。それは、1)選食力を養う2)共食力を身に付ける3)地球の食を考えるの3つです。では、その一つづつを見てゆきましょう。









1) 選食力を養う
 皆さん、選食力という言葉を聞いた事がありますか?「選食力」とは、自分や家族を健康にしてくれる食べ物を選ぶ力をいいます。そのためには食べ物の旬や栄養素・バランスについての知識だけではなく、安全性についての知識も重要になります。
2) 共食力を身に付ける
 この共食力という言葉も私は聞いたことがありませんでした。「共食力」とは、家族とともに食事を頂くことで相手を思いやる気持ち、食への感謝、食事作法などを学ぶ力を言います。食卓とは、特に子供にとって、生まれて初めての「社会」の中で生きてゆくマナーを覚える躾の場でもあると言われます。食卓は社会の縮図であると言えるのです。つまり食卓の崩壊が社会の崩壊に繋がる可能性があると言えるほど、食卓を共に囲む事は重要なのです。
3) 地球の食を考える
 日本の食料自給率はカロリーベースで39%(2012年度)です。つまり、残りは輸入です。それにもかかわらず、その食べ物の40%を破棄しているのです。現在の自給率39%の意味は分かりますか?現在の日本人口12500万人×39%=4875万人しか、自前の食材では生きられないということです。本当の人口ですね。
 
   では、もう少し詳しく一つづつを見てゆきましょう。



【 1)選食力を養う①】

  野菜の選び方や果物の選び方などはスライドの通りです。しかし、偽造表示等の悪質な偽装ケースもあり何を信じたらよいのか分からなくなってきています。大事なことは、店だと言われます。価格第一のスーパーで質を求める(信じる)のは難しいですね。しかし、価格が高ければ良いとも限りません。その商品を扱う人、店(事業者)の姿勢が最も重要だと思われます。生産者情報、栽培履歴などの表示があるか?消費者の立場にたった表示やサービスが提供されているか?食品トレイなどの回収コーナーなどが整備されているか?つまり、エコに関心のあるお店を選ぶのが最も早い良い商品の仕入れ方法であると言えそうです。台所担当者同士の、そうした情報交換を有効に活用くださいね。


 魚介類、肉類なども偽装表示には十分注意しながら、やはりお店で決めるのが無難でしょう。少々高価でも、それが家族の血肉となるのです。健康だからこそ仕事も学業も専念できるわけですから、奥様方の選食力が家族の健康を握っていると言って過言ではありません。(魚類の小型回遊魚とは、イワシ、秋刀魚など。大型回遊魚とは、カツオ、マグロなどは、身体に溜め込む環境ホルモンなども多くなるので小型(1年魚)回遊魚が良いです。回遊とは遠洋という意味で日本国土の河川の汚染を直接影響受けません。一方近海物(サバ、アジなど)は汚染の影響を受けやすく、注意が必要です。しかも、近海物の魚食性、雑食性の魚(スズキやイシモチなど歯がギザギザ)は、特に環境ホルモンなどが多いと言われます。お米は、米ぬかや胚芽に健康増進物質が一杯です。精米して、その糠を捨てるのは大変もったいない。玄米を五分付きに精米しても、その後に小糠を大スプーン2杯頂けば、玄米を食したのと同じです。小糠は、煎ると大変香ばしく、パサパサ感はあるものの、慣れれば美味しいですよ) 



【 2)共食力を身に付ける】
 
 最近、食卓を囲むというご家庭が減っています。仕事優先、多忙から家族が揃って食卓を囲む事が難しくなっているようです。(私も他人(ひと)の事は言えませんが)一緒じゃなくとも、まずはご飯は食べようとさっさと出来る食事(ファーストフード fast food)が出現。しかし、現在は、見直され、食材や地場産の食文化をもっと理解し伝統的食文化や食卓を大事にしようという運動(スローフードslow food運動)が起こっています。 実は、食卓とは特に子供にとって社会や大人の仲間入りをする最初のマナー(概念も含め)を学ぶ場所だといわれます。子供の社会性を育む躾の場なんですね。躾というと、とかく上から命令形で強要するイメージがありますが、それは注意が必要です。子供の特性をよく知れば、上手にいくことも多い。
 まず、子供は褒められることが大好き。というか、親を喜ばせたくてウズウズしています。だから、例えばご飯もたくさん食べてほしからと、一杯装っては、食べられないこともあるので、最初は少なめに盛り付け、「おかわり」という言葉を引き出す。「わー凄いな!」って褒めれば、どんどんご飯のおかわりが増えるという戦法ですね。出生した瞬間の子供を新生児(new born)といいますが、実は母親も新生母。新生児が一人前の人間に成長するように、新生母も本当の母親になってゆくと言われています。子供は親が大好きだから、言葉の理解より先に親のまねをする。だから、「子供は親の言うことは聴かないが、親のするようにする」わけです。こうして、親の遺伝子(表も裏も)を忠実にコピーしてゆくのです。こうして、その子の基礎ができるのが3歳まで。(三つ子の魂)ですから、3歳までは子供と親は常に一緒に居る事が好ましいと言われます。
 しかし、昨今の経済優先の家庭文化は変化しつつあります。共食力がなくなりつつあると言われています。
 


【6つの「こしょく」?】
 では、この共食力がないとどういう状態になるのでしょうか?言うなれば、共食力不全症候群ですね。
 それは6つの「こしょく」という症状がでます。1)孤食 2)個食 3)粉食 4)固食 5)小食 6)濃食 です。それぞれの意味はスライドを参照ください。小食は少食とは分けてあります。この場合、小食は、夜遅くまで起きており、朝に目が覚めないために食欲がない状態です。両親のライフスタイルが関連する場合もあり、そのあおりが子供に来る場合があります。一方少食は、積極的な食事制限を言います。むしろ励行されますね。如何ですか?なぜか、ラーメンしか食べない(粉食)人には、独り(個食)で、味の濃い(濃食)ラーメンばかり(固食)なのではないでしょうか?やはり、家族が協力して食卓を囲む積極的習慣化(ライフスタイルの調整)が必要ですね。そんな教育(躾)を受けてこなかったという人。まずは、6つのこしょくがどうかをチェックして、あれば生活の見直しが必要ですよ。
 如何でしょうか?
 日本人としての豊かで尊い文化は、この食文化と異になりません。いや、こうした共食力をはぐくむ食文化こそ我々の先祖の知恵そのものであり、今後の日本をより成熟した文化大国へと至らしめる重要な要素に違いありません。



【 3)地球の食を考える】
 次に視点を地球規模において食を考えてみましょう。言わずと知れた、地球は閉鎖空間です。食材は無尽蔵にはありません。有限です。カロリーベースで日本の食料自給率は39%(2012年度)です。単純に考えても、食事=身体なので、現在の日本人が鎖国して一切の外国との貿易がストップしたら(食品の輸入がなくなれば)12500万人×39%=4875万人しか、生きられません。3人に1人しか生き残れない数字です。これが、現状です。因みに、39%は日本の平均ですが、東海地方に限って言えば、愛知13%、 岐阜26%、三重42%(因みに東京は1%)なんですね。岐阜は広大な面積の割に人口が少なく十分かと思いきや、26%しかない。耕作面積が少なく山ばかりという事です。岐阜県人は4人に1人、東京では100人に1人しか生きられないという事ですね。でも、われわれは生きています。それほどひもじくもないですね。なぜか?食料を輸入しているからです。どこかの国から持ってくる。しかも、その食料の4割2000万トン(年間)を廃棄しているんですね。世界で、飢餓人口が8億人。栄養失調で毎日25000人が亡くなっているというのにです。破棄している2000万トンの食事とは、2600万人分の食料に相当します。しかも、こうした輸入食品は大量の燃料(エネルギー)を消費して我々の食卓に届いております(フードマイレイジと言います)。加えて料理にはガス、電気、レンジなどエネルギーを使います。すべて結果として二酸化炭素を排出します。フードマイレイジは、日本は世界でも断トツ1位(世界2位の韓国の3倍)です。エネルギー消費、二酸化炭素排出抑制の観点からも、国内産の食材を極力使い、輸入品は極力控えることが重要ですね。現代、実は地球は世界人口70億を養えるだけの面積がありません。つまり人口が増えすぎたのです。すでに現時点で、世界人口のすべてが生き残るためには、一人一人がもっと少食になるしか、方法がないのです。

 さあ、皆さん如何でしょうか?
 先日2014,2,9にクリニック20周年記念講演会で、「食」にフォーカスした講演会+映画会+食事会が開催されました。それほど、これからの世界は食が重要なキーワードになると考えたからです。この講演会には1日青汁一杯で生活する少食の実践者、森美智代さん。食材の力を見事に引き出す直観料理家で国境なき料理団団長、本道佳子さん。映画「食べないことから見えてくるもの」の鈴木監督の3名による、食についてのシンポジウムでした。冒頭の森さんは、ニコニコしながら、皆さんに訴えます。「私たちは愛の存在なのです。愛の存在の言動は愛そのもです。それは少食を実践することでできます。食材とは多くは生物(いきもの)です。食事とは、その生物を殺して頂くことです。でも、出来れば殺生(せっしょう)は極力少なくしましょう。どうしても殺生した生物へは感謝して頂くこと。少食は世界を救うのです」少食を実践している現代の仙人だからこそ言える言葉です。私には、未来の地球人のように見えました。



【おくすりご飯?】


 さて、食事が身体なら、病気が身体に発生する以上、食事を変えることで病気も治るのではないか?食事を変えれば病気になりにくくなるのではないか?という質問に応えて、おくすりご飯の話をしましょう。
  食事は本来薬ではありません。ですから、よく「病気を食事療法だけで治す」という言葉を聞きますが、それは注意が必要です。本来食事は健全な身体作りが目的であり、健全だからこそ、病気に強いと言えます。つまり病弱なのは、一つには「身体=食事」の法則を忘れ、単なる食事が栄養補給のみ、または娯楽に成り下がっているため、その結果「軽んじた」食材食習慣により「軽んじられた」身体(=病弱)となっていると言えるのです。しかし、基本的に身体は丈夫になろうとしています。そうした強い遺伝子を持った生物(せいぶつ)の種(しゅ)だけが、今日に生き残っていると言えます。ですから、病気は健全になろうとする体の法則を邪魔した結果、「生じた」または「知らせに来た」とも言えるのです。
そうです。病気はあなたの食べ方、生き方を本来に「変えなさい(戻しなさい)」と言いに来てくれた、神様からのプレゼントなのかもしれないのです。 



【食事と体のおいしい関係】

 さあ、皆さん如何でしょうか?
 繰り返しになりますが、食事は私たちの体そのものです。そして、私たちの生活や未来そのものでもある。私たちが今摂るその食事(食材と食べ方)で、健康な今と未来を創ることができることを学びました。
 しかし、実は食事にはもう一つ大きな効用もあったのです。
 それは、食事は同時に先祖供養でもあるということです。
 あなたの身体の半分は父親、半分は母親のコピーです。
つまり、あなたとは、父1/2+母1/2なんですね。父はその両親(父方祖父母)、母もその両親(母方祖父母)です。
こうして遡る(さかのぼる)と、実はあなた自身とは、先祖そのものだという事がわかります。そうです、先祖とは仏壇やお墓だけにおいでになるのではなく、あなた自身が先祖そのものだったのです。あなた自身が良い食事を摂る事は、先祖に良い食物を供養をしていることなのです。あなた自身が、あなたの身体を大事にすることが、すなわち先祖を大事にすることになるのです。
 ですから、せめて夜にお風呂人入った時には、身体をタオルだけではなく、あなたの両手で摩ってあげましょう。
 まず、60兆の細胞に向かって、「ご苦労さま」
 あなたの先祖に向かって「ありがとうございます」
 きっと、細胞たちも、先祖もピカピカになって、喜ばれるはずですよ。その時に、あなたの人生もきっとピカピカになるに違いないのです。
 それが、身体=食事という法則だったんですね。



【少食、断食の効用】

 最後に「食べない健康」も知ってください。私たちは死後、霊になります。霊と人の違いは、肉体があるかないか。肉体=食べ物ですから、肉体を持ちながら食べないのは、霊的な生き方と言えます。だから、冒頭の森さんは霊的能力が開花したと言えるのです。
 まず一度、当院主催の座禅断食会にご参加ください。本当に、私たちは食べ物で生きている、生かされているという事実を実感しますよ。さあ、一緒に楽しく実践ですね。 





【おくすりご飯】(クスリごはん 第2弾(ヘルシーライフファミリー編集)リベラル社より)