痩せる太るは腸内細菌
船戸クリニック 医師 船戸 博子


すっかり夏の日射し。
麦わら帽子をかぶり、ノースリーブワンピースがひらり、木陰にたたずむお嬢さん。
え~っ!まゆみちゃんなの。あごのラインが別人だ!
「すっきりしたねー。」
「うふ、みんなに言われます。軽くなりました。」
楽しそうね。痩せるとうれしいんだね。
ダイエットの結果がすぐに出る人はペンギンちゃん、つまり水滞(水太りタイプ)の方ですね。子ぶたちゃん、タヌキちゃん(気滞、?血タイプ)の方は、ゆっくり結果があらわれます。あせっちゃダメよ。
成熟年代の方は、MIXタイプが圧倒的。だから、ゆっくりの右肩下がり体重グラフで大丈夫。





今回は痩せるお食事についてお話をいたしましょうね。
そんなの分かってる。カロリーの低いものを食べればいいんでしょ。
ピンポーン。
でもね、同じように食べてそれほど運動量に差がない、たとえば寮生活をしている人たちに、太っている人、痩せている人がいるのはどうしてかしらね。
不思議でしょ。痩せやすさ、太りやすさは、その人の体質にあると先月号で書きました。
じゃあ、その体質はどうやって決まってるの?
ハイ!遺伝。もちろん、その通り。
でも、それにプラスした、体のヒ・ミ・ツがありますのよ。
はい、その秘密が、腸内お花畑。
えっ!ヒミツの花園?
私たちの体は60兆個の細胞で成り立っていますが、なんと知らない間に(というか生まれた時から)外から入ってきた100兆個の細菌という生き物が腸の中に棲みついて、細菌の種類ごとに群生しているのです。それが腸の中のお花畑、腸内フローラ。この腸内フローラの種類、量によって体質が決まるのです。
腸内細菌は3つのグループ、善玉菌、悪玉菌、どっちつかずの日和見菌がいます。
なんだかこの世に似ていますよね。
悪い人、暗い人はひょっとしたら悪玉菌が多い?
はい、ピンポン。
実は、腸は脳内に次いで神経細胞が多く、腸内細菌が作る物質が腸の神経細胞を刺激して脳に伝わり、気持ちと考え方に影響を与えることが分かってきたのです。
そうですよね。朝スッキリバナナくんと出会えた日はルンルン。お出かけ気分になるものね~。
ちょっと脱線しましたが、痩せるには善玉菌2、日和見菌7、悪玉菌1、がベスト。
腸内細菌は、食べ物を分解して、エネルギーとして吸収できるように、せっせと料理をしてくれているのです。なんて働きもの。休まず、さぼりもせず、人知れず。
そうです。痩せる、太るだけではなくて腸内フローラは、癌、糖尿病、うつ病、感染症にも大きく関わっていることが判明してきています。



あなたの腸では綺麗なお花が咲いているのかしら?
それを見るのは簡単。
便秘してない?
お通じの形、色、においを見てみましょうね。
黄褐色のバナナくんが一等賞ですよ。
綺麗な花咲く腸内畑を育てましょうよ。
まずは腸内細菌の数を増やしましょう。数を増やせば、腸内細菌のバランスが良くなる事が分かってきています。



そのために
#1 たくさんの種類のできるだけ加工していない食品を摂りましょう。
   (食品添加物を減らしましょう。)
#2 発酵食品を食べましょう。
#3 食物繊維を摂りましょう。
#4 オリゴ糖を摂りましょう。
#5 ストレスを減らしましょう。



おすすめは
① モンゴルヨーグルト(発酵食品)
② マヌカハニー、オリゴ糖(善玉菌エサ)
③ 納豆(発酵食品)に芽かぶ(食物繊維)
④ 重ね煮スープ(食物繊維、オリゴ糖が多い野菜)



痩せる、痩せない。
太る、太らない。
自分の体という家の中で一日たりとも休まず、料理して、掃除をしてくれている腸内細菌さんが暮らしやすくするのが、大家さん、あなたの努めですよ!
健康であなたらしい体と心のためにね!




参考文献
・「一生太らない体をつくる腸健康法」 藤田絋一郎著 大和書房
・「腸内革命」 藤田絋一郎著 海流社
・「驚異の腸内フローラ」 田中保郎著 ぶんか社
・「人の健康は腸内細菌で決まる!」 光岡知足著 技術評論社
・「腸内フローラ健康法 みんなの家庭の医学 伊藤裕 医学監修 学研
・「生物の科学 遺伝 2014年7月 特集 腸の世界」 エヌ・ティー・エス
・「一個人 2015年5月 医者が教えない健康常識の嘘」 KKベストセラーズ