赤ちゃんが欲しい方へのアドバイス ~第3回~(最終回) 医学博士 卲輝
ここからが本題です。 まず、タンポポT-1は視床下部に作用します。すなわち、タンポポT-1が視床下部を刺激することで、脳下垂体はFSHとLHを規則的に分泌するようになります。つまり、タンポポT-1はホルモンを調整する働きがあるのです。 さて、あらゆるストレスは最終的に脳の大脳皮質で感知されます。すると、そこから神経伝達物質が分泌されます。神経伝達物質には、怒りに対して分泌されるノルアドレナリン、恐れや驚きに対して分泌されるアドレナリン、嬉しさや楽しさに対して分泌されるドーパミン、眠気に対して分泌されるセロトニンなどがあり、これらは視床下部に伝えられます。視床下部はその情報を受け取ると、それに従って体温を上昇させたり、食欲を減少させたり、血圧を上げたり、反対に体温を下げたり、食欲を増進させたり、血圧を下げたりするわけです。 タンポポT-1が体に入ると、実はその神経伝達物質のドーパミンの分泌が盛んになるのです。すると体温が上昇し、血流が増え、それによって緊張が解かれます。その結果、FSHとLHのバランスが良くなるというわけです。つまり、排卵の状態が良くなるということです。さらに、このことは卵巣の機能が向上することにつながりますから、子宮内膜の状態にも好影響を及ぼすと考えられます。従って、受精卵が着床しやすい環境が整いやすいともいえるのです。 ちなみに、FSHとLHの分泌量は、少なすぎても多すぎても駄目です。意外に思うかもしれませんが、一般に健康な若い女性はFSHの分泌量は少なく、年を重ねてくると多くなります。それはつまり、加齢とともに卵巣の機能が低下すると、脳は卵巣の機能を回復しようとしてFSHをどんどん出すように指令を送るからです。しかし、その結果FSHとLHのバランスが崩れることになり、どんどん排卵はするものの、その卵子は育っていないということになってしまうのです。「のぼせ」などの更年期症状は、こういうことが要因としてあります。タンポポT-1は更年期症状の改善にも功を奏しますが、それはこうした理由からです。 また、タンポポT-1は精子にも良い影響を与えます。なぜなら、FSHは精子を作る上でも重要なホルモンで、FSHのバランスが悪いと良い精子は作れません。タンポポT-1はその精子を作る睾丸に作用して、FSHを刺激し、精子を作る能力をアップさせるのです。 甲状腺ホルモンも女性の妊娠に関係しますが、これにもタンポポT-1は良い影響を与えます。 甲状腺ホルモンは、脳下垂体から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の作用によってその分泌が促進され、このホルモンが過剰になったり不足したりすると、甲状腺ホルモンにも過剰や不足が見られるようになります。 さて、甲状腺ホルモンには、体内のタンパク質合成やエネルギーの代謝、酸素消費などの能力を高める作用がありますが、中でも、妊娠に重要なのはタンパク質合成です。つまりタンパク質合成の能力が高いということは、良い卵子が育つということで、逆に低いと卵子は良く育ちません。 例えば、冷えは1つの老化現象と捉えることができますが、この一因には、甲状腺ホルモンの働きが悪くなるということがあります。ですから、冷えは妊娠しにくい体質を作ると先述しましたが、このように甲状腺ホルモンの働きが低下することで、卵子が育ちにくくなるともいえるのです。 タンポポT-1は、TSHを調整することで、この甲状腺ホルモンの働きを正常化するというわけです。 次に、タンポポT-1は女性ホルモンの受容体を増やします。 ご存知のように、女性ホルモンは現代医療で作ることができます。しかし、いくら体の中に女性ホルモンを入れてあげても、その受け皿(受容体)がなければそれを受け取ることはできません。ところが、不妊で悩んでいる女性の中には、この受容体に問題がある方も多いのです。 その原因は、1つには老化、すなわち卵子全体の老化と、受容体そのものの老化です。そして、もう1つは環境ホルモン(内分泌物撹乱化学物質)によるものと考えられます。環境ホルモンが卵子の受容体を占領してしまって、本来受け取るべき本当の女性ホルモンが収まる場所がない状態です。例えて言うなら、椅子取りゲームで椅子に座れない状態です。 この環境ホルモン----内分泌撹乱作用が疑われる化学物質の数は約70物質といわれており、これを用途別に分類すると、殺虫剤・農薬・除草剤・プラスチックの原材料・添加物・その他(重金属、PCB、ダイオキシン、合成女性ホルモンなど)となります。 ちなみに、プラスチックの環境ホルモンに関してはこんな話があります。 1970年代、乳がんの細胞培養の研究中に、プラスチックのシャーレの中で培養していた乳がん細胞が、卵胞ホルモンを投与していないのに異常増殖したというのです。つまり、使用していたプラスチックのシャーレから、環境ホルモンが流れ出てこういう現象を起こしたわけです。 さて、タンポポT-1はまず、老化した卵子やその受容体を若返らせます。すると、卵巣の働きが良くなるので、当然卵子の育ちも良くなります。そして、卵子の受容体そのものを増やすのです。これで、卵子は女性ホルモンを必要な分だけ受け取ることが出来、その結果、成熟した良い卵子が育つというわけです。 さらに、卵子の周りにはたくさんの顆粒膜細胞と呼ばれる細胞がくっついていて、それが卵子に栄養を提供しているのですが、タンポポT-1はこの顆粒膜細胞に作用して、顆粒膜細胞を増やします。実は、年齢が高くなるにつれ顆粒膜細胞は少なくなり、卵子の育ちは悪くなるのですが、タンポポT-1はここでも力を発揮します。 2006年10月に開催された『The 5th international Symposium on TCM,Tianjin China 』において、タンポポT-1が女性ホルモンに与える影響に関する研究論文が発表されました。その一部を抜粋して紹介します。 生殖年齢の女性(20~45歳)において、タンポポから抽出したT-1成分(以下タンポポT-1)服用前と、服用3か月後における各種ホルモンの推移について検討した結果、以下の4点が確認された。
生殖年齢の女性58人に対して、1日当たり36mgのタンポポT-1を投与し、服用前および服用3か月後に、同一性周期における卵胞刺激ホルモン・催乳ホルモン・卵胞ホルモン・黄体ホルモンの変動を検討した。 58人中30人(51.7%)は、卵胞刺激ホルモンが上昇する傾向にあり、36人(62.1%)に黄体化ホルモンが上昇する傾向が見られた。また、43人(74.1%)において卵胞ホルモンが上昇し、21人(36.2%)に黄体ホルモンの上昇が認められた。なお、卵胞ホルモンが上昇した43人においては、平均で36ng/ml上昇し、黄体ホルモンが上昇した21人においては、平均で5.2ng/mlの上昇が認められた。 55人(94.8%)において、月経痛や冷え症などの自覚症状が改善し、その程度が大きい者ほどこの傾向が多く認められた。 また、もともと催乳ホルモン値が高い3人の被験者は、タンポポT-1を服用して3か月後、同値が下がったことが確認された。 別の実験において、タンポポT-1を投与したラット脳中のノルエピネフリン・ドーパミン・セロトニンの増加が確認された。これらの物質は認知症とも関係が深いとされており、タンポポT-1の薬理作用の多様性が期待される。 タンポポT-1をマウスに投与すると、マウスのエストロゲン受容体で、遺伝子レベルでmRNAが増加した。ゴナドトロピンと併用して投与した場合も、エストロゲン受容体は増加した。免疫組織化学分析の結果からも、受容体の上昇が示された。 今回の研究から、タンポポT-1の経口摂取によってマウスにおけるエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・および卵胞刺激ホルモン受容体の上昇が示され、生殖ホルモン関連障害の臨床治療にタンポポT-1を利用できる可能性が示唆された。 『INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE 20』,287-292(2007)掲載 タンポポT-1は、強力な解毒作用で妊娠をサポートします。 私たち人間は、食事をして栄養を体に蓄え、それを活用してエネルギーに変えて活動しています。そして、その後には必ず老廃物が残りますが、それを外に出さずに溜め込んでしまうと、体内毒素となってしまいます。 体内毒素がどんどん増えてしまうと、血液やリンパ液の流れが悪くなり、酸素や栄養が細胞にうまく運搬されないため、細胞は衰弱してしまいます。そんな衰弱してしまった細胞では、代謝が下がり、すべての生命活動が衰えてしまうことになります。すると体が冷えたり、頭痛・肩こり・吐き気・便秘・疲労・肌荒れ・月経痛・月経不順・不正出血など、様々な症状が引き起こされ、卵子の質の低下、妊娠力の低下につながってしまいます。 さて、私たちは体の中の老廃物を、尿や便・汗のかたちで体外に排出します。ですから、尿がしっかり出ないと解毒ができなくなってしまいます。そこで私は、罹患している病気が異なる4人の患者さんに、タンポポT-1を1週間に渡って使用していただき、尿量を測定してみました。その結果、全員が飲み始めてすぐに尿量が増え、なかには1回の排尿でまとまった量の尿が出るようになって、排尿回数が減った方もいらっしゃいます。 このように、タンポポT-1を使用すると腎機能が高まります。 また、尿を濾過するのは、糸球体と呼ばれる毛細血管の糸玉です。つまり、細い血管がたくさん集まっているのが糸球体ですが、タンポポT-1はこの末梢血管を拡張する作用があり、それによって血液やリンパ液の流れがスムーズになり老廃物が排出されます。これも、タンポポT-1の解毒作用のポイントの1つです。 ところで、腎臓で老廃物を処理しきれないと、生殖器に溜まりやすいということをご存知でしょうか。これを生殖毒といいます。生殖器は大量の栄養が必要なため、その運搬用に細い血管がたくさんあります。ですから毒も溜まりやすいということになりますが、実はその生殖毒が、不妊の直接原因になる場合も多いのです。知らず知らずのうちに生殖細胞に体内毒素が蓄積してしまい、不妊の原因になっているなんて、恐ろしいことだと思いませんか。さらに、せっかく妊娠したとしても、羊水が体内毒素の影響を受けた場合には、胎児にも悪い影響を及ぼしてしまいます。また、このような毒素は遺伝子を傷つけて、流産や死産の原因にもなり得ます。 解毒がいかに大事かということがおわかりかと思います。 以下は、タンポポT-1の毛細血管拡張作用に関する動物実験の結果です。 [実験その1] 視神経乳頭の血流を減少させたウナギに、体重1kg当たり10mlのタンポポT-1を毎日1週間飲ませました。その結果、投与1時間後より視神経乳頭血流量が増加傾向を示し、投与3?5時間後では有意な増加を示しました。(写真) また、正常なウナギにおいても、タンポポT-1を飲ませることで、血流が増加することを確認しました。 血流が良くなると、滞っていた血、すなわち汚血がとれるので、タンポポT-1は汚血の予防になることも示唆されました。 [実験その2] マウスを3つのグループに分けて、それぞれにタンポポT-1・水・ビタミンEを投与し、マウスの腹膜毛細血管における赤血球流量を測定しました。 すると、タンポポT-1を投与したマウス群の赤血球流量は、水を与えたマウス群と比較して約5倍になりました。 これによって、タンポポT-1が血流を改善することが示されました。 タンポポT-1は、ミトコンドリアを元気にします。 前に「卵子の老化」のお話をしましたが、それにはミトコンドリアが深く関わっているのです。 卵子の元は、いわばカプセルのような卵胞に1つ1つ格納され、排卵する日を待ち続けているわけですが、この卵が劣化しないように管理しているのが細胞内のミトコンドリアです。たとえて言うなら、卵のお世話係でしょうか。ですから、このミトコンドリアが年を取り働きが悪くなると、当然卵子の質も落ちてしまうことになります。 卵子の構造を見てみると、核・細胞質・ミトコンドリア・二次極細胞・透明体・放線冠と、非常にシンプルです。なかでも核・二次極細胞・透明体は、これから着床したり、分裂したりといった主役的な役割を担っているものです。ミトコンドリアは、細胞質に約25万個も存在し、これらの主役たちが十分に働けるようにATPというエネルギーの元を作っているわけですが、老化した卵子はミトコンドリアが弱り、十分なエネルギーを作り出すことが出来ないのです。 この、ミトコンドリアの老化によるエネルギー不足は非常に深刻で、減数分裂(卵子の元が排卵のため卵子の過程で染色体数を半分にする細胞分裂のこと)の際、ミスが生じて、染色体が不完全な卵子となってしまうことが増加します。そして、卵子にこのような染色体異常が起こると、受精や着床はせず、妊娠したとしてもほとんどが流産となってしまいます。一般に、35歳を超えると流産が増え、妊娠しにくくなるのはこのためでもあるのです。 タンポポT-1は、このミトコンドリアの受容体に作用して、ミトコンドリアの働きを良くします。タンポポT-1の分子量は非常に小さく、細胞膜を通過できるサイズなので、こうしたことが可能なのです。 また、甘いものなどを摂りすぎるとミトコンドリアの働きが悪くなりますが、タンポポT-1は糖の代謝を促進させる作用があるので、ミトコンドリアの働きを活発にすることができるのです。 ちなみに、糖尿病と密接な関係を有するものに、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)があります。これは赤血球のタンパクであるHb(ヘモグロビン)と糖(ブドウ糖)が結びついたものです。ヘモグロビンは体の隅々まで酸素を運搬する役割を持っていますが、その体内を巡る間に、血管内のブドウ糖と少しずつ結びつきます。ですから高血糖、すなわち余分な糖が多ければ多いほどその結びつきが増えて、HbA1cも増えるというわけです。ところが、タンポポT-1を服用すると、このHbA1c値が低下するのです。これに関しては多くの臨床データがあります。 例えば、卵巣内に多数の卵胞が溜まって、月経異常や不妊を生じさせる多嚢胞性卵巣症という疾患がありますが、この原因の1つは糖代謝の異常だと考えられています。事実、血糖値の高い人や、極端に甘いものが好きで甘いものばかり食べているような人は、この病気になりやすいことが知られていますが、タンポポT-1はその改善にも奏効し、赤ちゃんを授かったという事例も少なくありません。 以上を整理すると、
ちなみに、東西医学融合研究会における不妊治療の成績 (表※)によると、従来の治療法を採用した12人と、タンポポT-1を併用した32人の患者さんを比較した結果、タンポポT-1併用の患者さんは、治療期間が平均4か月、採卵期間が平均2か月短縮され、妊娠率は20%増加したということです。 また、タンポポT-1は、排卵誘発剤の副作用を軽減することがわかっており、不妊治療を受けた患者さんは、タンポポT-1を併用してから、「排卵誘発剤による不快感がなくなり、排卵期のおりものが増えた」「高温期の体温が高くなって、その期間も長くなった」という臨床データも報告されています。 表※ 東西医学融合研究会における不妊治療の成績
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