心臓の貼り薬 ?貼り薬の歴史①-



 
■講演会、イベントのお知らせ
 ◆「がんになった医師が語る、「がん家族論」。新しいがんの治療法」講演会
  ・3月26日(日)13時~  四日市都ホテル(三重県四日市市)
  ・4月 9日(日)14時半~ 名鉄ニューグランドホテル、(愛知県名古屋市)
  ・4月16日(日)13時~  松本文化会館(長野県松本市)
   お問い合わせ:TEL0120-663-337、株式会社スピック
 ◆4月23日(日)フナクリ感謝祭 船戸クリニック





 がんのための 「免疫力活性のコツ」 

船戸 崇史
 今日は、どれだけ強調してもしすぎる事のないがん治療の基本をお話しいたします。


1)人は治るようになっている

 
 
当院のがん治療の基本認識
 
1)人は治るようになっている(自然治癒力)
  2)がんにならない人はいない
  3)がんが治らなければ逝くが、がんが治ってもいずれ逝く



 これを「自然治癒力」と言います。これは、自然に治る力とは「治そうと思わなくとも治る力」と言う事ですが、おおよそ医学の根底的原則の中で最も重要な原則だと思います。
 例えば、あなたが手にかすり傷を負ったとします。治そうとしなくとも一週間もすると自然に治ります。実はがんも同じなのです。本当は、がんも治そうと思わなくとも自然に治るもの
なのです。しかし、がんが出てきたじゃないか?だから、治そうとしなくちゃいけない!って聞こえてきそうです。
 実はもう一つ重要な原則があります。



2)がんにならない人はいない

 現代、「2人に1人はがんになる」時代だと言われます。正確に言うと、これは間違いです。
実は2人に2人ともが、いや100人に100人ともががんを毎日発生させています。それも、通常でも30秒に1個程度のがん細胞は発生しています。すると1日2,880個(2個/分×60分×24)のがん細胞が出現する事になります。これに拍車をかけるのがタバコなど悪しき趣味や生活習慣です。するとがん細胞の発生が10倍も増えます。(28,800個/日)これを3000~30000個程度と考えて、この状態が10年続けば10,950,000(約1000万)~109,500,000(約1億)個の細胞集団となります。これは細胞の塊で言うと約1cmです。だれもが造っているのです。しかし、1)私たちは治るようになっています。だから、本当は100人が100人がんを発生させているが、100人が100人、がんを消しているのです。
 何が消しているのでしょうか?
 それがリンパ球です。リンパ球は白血球に分類される免疫担当細胞ですが、がん細胞担当の立役者です。このリンパ球ががんを消してくれます。
 しかし、現実には2人に1人はがんが消せません。なぜでしょうか?それは、がんを治すことを邪魔しているからなのです。つまりはリンパ球の働きを邪魔しているのです。
 リンパ球の働きはホルモンと自律神経によってコントロールされています。そして、このホルモンと自律神経はその人の生活習慣に依存しているのです。そうすると、最終的には、生活習慣こそががん発生の原因であるようです。これが、がんが生活習慣病である所以です。 

 「自然体ならがんにはなりません。しかし、現代では2人に1人はがんになります。
 とは正確には、
 「自然体ならがんは100%発生するが、リンパ球が発動して100%がん細胞が除去されるためにがんにはなりません。しかし、現代ではその人の生活習慣の中でリンパ球の働きを邪魔する人が増えてきました。その結果、2人に1人しかがんを消すことが出来ません。つまり2人に1人はがんになります。」という事なのです。
 


がん細胞の特徴

 がんを許す生活習慣とは何でしょうか?これは、がん細胞の特徴を知ると理屈が分かってきます。

 がん細胞の特徴(安保教授より)

  ① 酸素が嫌い=低酸素が好き
  ② 熱が嫌い=冷えが好き
  ③ 砂糖大好き(がんは大食漢)



①まずがん細胞は、酸素が嫌いです。安保先生は、低酸素の状況が日常生活で続く為に生き残りの手段として正常細胞が原始時代回帰を起こし、エネルギー代謝方法をミトコンドリアから糖質分解(解糖系)へシフトした結果であると言われました。(20億年以上前の未だ地上に酸素がなかった過酷な時代に生命体が生き抜く方法として身に着けたエネルギー代謝が解糖系)

②また、がんは熱が嫌いです。ハイパーサーミアと言う治療法自体が細胞内温度を42.5°C以上にすることを目指します。この体温では正常細胞は生存できますが、がん細胞は死滅します。そして、42℃以下でも、細胞内に存在するHSP(Heat Shock Protein熱ショックタンパク)を活性化する事で変異した遺伝子が正常化し延いてはがん予防、がん治療に有効であることも証明されています(修文大学、伊藤教授)。

③そして、がんはお砂糖(糖質)が大好きです。しかし、私たちの脳と赤血球は糖質のみが唯一の栄養源です。何と脳だけで一日120gもの糖質を必要とします。また精神的、肉体的ストレスへの糖質摂取が即効性がありますので、糖質ほど有効な栄養源はありません。問題は糖質には依存性があると言う事と、何よりがんが大好きだと言う事です。余分な糖はまずがんを成長させるので、適切な運動での消費が重要なのです。

如何でしょうか?こうした特徴が分かれば、どうするとがん細胞が元気になり、ではどうしたらがん細胞を抑える事が出来るかが分かりますよね。



がん治療の立役者、リンパ球

では、次にがんを抑える仕組みの要であるリンパ球に如何に活躍してもらうかです。
 
 
 如何にリンパ球に活躍してもらうか?
  
  ④ 良いリンパ球(細胞)を造る
  ⑤ リンパ球の活性を図る
  ⑥ リンパ球の働く時間をしっかり確保する




④良いリンパ球を造る

 我々の身体は何で出来ていますか?そうです、細胞ですが、その細胞は全て食事で出来ています。身体=食事であり、細胞=食事であり、リンパ球=食事です。良いリンパ球を造るには良い食事が重要です。お手軽なジャンクフードばかり食べれば、お手軽な身体になり、ジャンクな身体になります。
 因みにジャンク(junk)とは、英語で「ガラクタ」「屑」という意味です。はたして屑リンパ球でどこまでがんに対抗できるかですが。心配なら、健康的なリンパ球を造る事です。その為には、今の食事で健康的な食事をすれば良いという事になります。極力無添加、無農薬、地場産で生産者の顔の見える旬の食材が最高です。
 昔ながらの日本食ですね。つまり、今日の食事が非常に重要!
 
⑤リンパ球の活性を図る
 リンパ球で特にがんを取り締まるのはNK(Natural Killer)CTL(Cytotoxic T-Lymphocyte 組織障害性リンパ球)です。その活性を図るのが、まずは自律神経を活性化する事。リンパ球は副交感神経支配ですが、より活性化する方法は交感神経活性化とのメリハリある刺激です。副交感神経は夜間に活性化します。一方交感神経は昼間に活性化するので、昼間ピンピン、夜はコロッと寝るのがリンパ球活性の第一です。
 また、体温も重要です。1度の体温上昇で40%活性が上がります。逆も真ですが。また、笑いは直接神経ペプチドを介してリンパ球の活性を上げます。
 食事も重要で、きのこ類のβ―グルカン、ヨーグルトなどの乳酸菌類、少量ならアルコールもリンパ球を活性化します。ただし、リンパ球の活性は20歳をピークに加齢とともに下がります。(50歳で50%減、80歳で75%減)よって、歳をとるほど活性化を図る必要があります。

⑥リンパ球の働く時間を確保
 一日に出来るがん細胞は3000個から30000個ほどである事は先に書きました。これを消すのはリンパ球であり、その為良いリンパ球を活性化する必要があるとも書きました。しかし、どれだけ優秀なリンパ球でも働く時間は必要です。それが夜です。しかも最低6時間は必要なのです。特に最初の3時間は重要で、その後は浅眠状態になるパターンが多いので、トイレに行かれることもありますが、夜間トイレは2度くらいまでなら大丈夫です。最低6時間は連続してお休みください。
 この良好な睡眠ほどがん細胞除去に有用な事はありません。人のいい人ほど、この睡眠時間を割いて他人の為に仕事をしますが、早速その習慣は止めましょう。あなたががんで亡くなることほど他人(ひと)の為にならない事はないからです。まずあなたが元気でいる事が一番重要なのですから良く寝るためには、他人(ひと)(さま)からの仕事を断ってでも寝てください。それが体の為であり、延いては本当の意味で他人の為にもなるからです。
 この夜間の睡眠を邪魔するものが3つあります。1、痛み 2、不安 3、昼寝のし過ぎ です。痛みは鎮痛剤でしっかり取りましょう。不安は睡眠薬を服用する。昼寝は30分以内で対応しましょう。その結果、リンパ球が活性化しがんを消してくれるという事は、鎮痛剤も睡眠薬も昼寝もつまるところ抗がん剤だと言えるのです。



西洋医学と補完代替医療

 如何でしょうか?私はリボーン外来でこの話をしてきました。
 がんと言われればまず「治しましょう」と言われます。そして西洋医学的手法が使われ如何に沢山の人が救われているでしょうか?西洋医学はエビデンスに則った非常に優秀なツールです。これを使わない手はありません。ただし、出来るだけ早期が望まれます。病状が進んでしまった人には厳しい治療法になります。西洋医学は治すツールであり、「病状が進んだ」という表記自体が西洋医学の治療効果に即して「治せない」という意味だからです。ですから、賢い患者になるとは、まずは、西洋医学的に「治せる」のか「治せない」のか見極めてもらう事が重要です。西洋医学は限界も知っていますから。
 治せるなら「西洋医学」を選択してください。「治せないなら」西洋医学は副作用が強い場合が多く推薦できません。(緩和ケアは非常に有効ですが)
 補完代替医療(以下、Complementary Alternative Medicine CAM)という選択肢がありますが、これは多くは保険がきかず、公的病院では混合診療の制約から使用ができません。使用しないのは効かないからではなく、保険が効かないからに過ぎません。ところが、中には非常に優れたCAMもあり、一度信頼できる医療機関でご相談ください。業者は良い事しか言わないので注意が必要です。法外に高いものは購入しない、人相の悪い人からは購入しない、最後購入する時は自己責任で購入するなどご注意ください。
 西洋医学で厳しいというのは、実はCAMでも治すことは厳しい場合は多いですが、CAMQOLを上げるには非常に有効な場合が多いです。現代医学の「治る、治らない」という言葉は、飽くまで「西洋医学では」という枕詞がある事をご承知いただき、運命の言葉であると早合点しないことが重要です。
 今一度、生き方の点検から始めましょう。



がんの原因は無理。いい人ほどなりやすい?

 がんは原因があります。根本的には貴方の性格や思考法と遺伝を含めた体質の結果、生じるストレスががんの原因なのでしょう。そして、その生活が10年から20年続く事でついに免疫が破綻しがんが発生するのです。1本のタバコで肺がんにはなりません。毎日続けて習慣となった時にどこかでいつか免疫が破綻しがん化するのです。その間違った習慣ががんの原因なのです。そして「間違った習慣=免疫低下行動×年数」なのです。
 しかも重要な事は、免疫低下行動=「悪」ではありません。「無理」です。身体に無理を掛けた結果なのです。性格や体質は変わりませんし変える必要もありません。
 生活を変える事が重要なのです。そして、どういう人が無理するのか。それは人のいい人です。何とか人の役に立とうと頑張る人です。それが肉体に無理をかけたに過ぎないのです。
 そうです。がん患者さんは人のいい人しかならないのです。
 エビデンスはないですが、私(船戸)ががんになったので、間違いはないと思っています。