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がんに克つ寝技

   ~睡眠力を身につけ自然治癒力を上げる方法~
 

船戸 崇史

 
【 がんは治るようになっている 】
 がんは治るようになっています。その本質が自然治癒力です。自然治癒力とは「治そうと思わなくとも治る力」です。この力は本来甚大で人を産み成長させ、病気を予防し治し、仕事を成し人生や世界を創造する力そのものだと思っています。
 しかし、この力を邪魔すると、種々の病気が生じます。典型的にはがんです。
 がんは一朝一夕にはできません。そのがんが現代は2人に1人(50%)なる時代だと言われています。しかし、本当は違います。がんは2人に2人とも(100%)発生しているのです。ただし本当は2人に2人とも消えるようになっているのです。これこそ「自然治癒力」なのです。でも実際は半分の1人(50%)しか消せていないのです。がんになった人とは「がんを治す邪魔をしていた」からなのです。
 何が邪魔していたのか?それこそがあなたの「生活習慣」なのです。だから、がんは「生活習慣病」だと言われているのです。
 がんになった人はそれまでの生活習慣にがんの原因があった以上、どこに問題があったのか一度自分の生き方(生活習慣)を見直す必要があります。
 そして、見直すべき生活習慣は大きく5つのカテゴリーがある事が分かりました。次の5つの生活習慣が(おろそ)かになると自然治癒力が低下し、がんの発生スピードが上がり、できたがん細胞も居残ってしまい、その生活習慣が長年にわたると、とうとう目に見えるがん細胞集団に成長するのです(がんが画像診断で見つかるには5mmは必要です)。
 ですから、がんを消したいなら、まずこの5つの悪しき習慣を正さない事には消えようがありません。がんの原因に気が付き、勇気を持って生き方を変え生活習慣を変えることからがん治療が始まる事を理解くださいね。
 ステージ4、手遅れと言われても、諦める必要はありません。多くの生還者が居られます(ケリーターナー著「がんが自然に治る生き方」参照)。しかし、治る生き方を始めなければいけません。味方は、あなたの中の自然治癒力です。その発動の邪魔をしなければ自然と体の修復機転が働き、がんは消えるしかないのです。

 まず、5つの自然治癒力を削ぐ生き方とは?
1) 睡眠不足の習慣 ⇒ 良眠生活(1日最低6時間以上の良好な睡眠)
2) ぞんざいな食事習慣 ⇒ 良食生活(がんの好きな物は控えがんの苦手な食事を摂る)
3) 運動しない習慣 ⇒ 運動生活(1日最低30分の有酸素運動)
4) 冷えの有る習慣 ⇒ 加温生活(HSP入浴の励行。42℃10分を週2回)
5) 笑いのない習慣 ⇒ 微笑生活(笑う、歌うことと瞑想、ヨガ、座禅を毎日)


 睡眠の重要性  

 そして、特にこの中で私が注目する特別重要な項目があります。
それが「睡眠」です。睡眠中こそが、昼に傷つけ疲労した細胞や組織を修復する時間帯です。私は外来で「がんを治したいならまず眠れているかです。眠れないのにがんが治る事はありません」とまで公言しているくらいです。
 そこで、今回はこの睡眠をターゲットにした大変素晴らしい書籍に出会いましたのでその著書の内容をご紹介しましょう。
ショーン・スティーブンソン著の「SLEEP」~最高の脳と身体をつくる睡眠の技術~(ダイヤモンド社)です。
(船戸流にまとめました。出典はページで記載しました。ただし紙面の都合で飛ばしたチャプターもありますので詳細は著書を参照ください。)





********************** 以下著書のまとめ **********************

 【 はじめに 】

睡眠不足はがん、アルツハイマー病、うつ病、心臓病にかかる確率を高める事が実証された(P2)
自分の全ては遺伝子によって支配されていると言う考え方が浸透している。しかし、本当は遺伝子が我々の外観や健康、性格を直接支配している訳ではない。実は発言する遺伝子は、自分を取り巻く環境や個々のライフスタイルや下す決断で変わる。その質を決めているのが睡眠である。(P4~6)
睡眠は量より質である。賢く眠る事が重要である。(P8)
十分な睡眠を摂らずにいると何をするのも遅くなり、創造力が衰え、ストレスが増大しパフォーマンスが下がる。(P9)
古いスコットランドの諺「よく笑いぐっすり眠る事が最善の治療薬」(P10)
睡眠研究の第1人者ウィリアム・デメント「睡眠を健全にしない限り健康にはなれない」(P10)


 睡眠は人生の全てを左右する  

 
【 睡眠が脳と身体を造り変える 】
眠っている時には同化作用(外から摂取したものを合成する過程)、免疫力、骨・筋肉の成長や再生が起こる。つまり、眠る事で身体が再生され、若さが保てる。(P21)
睡眠不足では頭頂葉と前頭前皮質のグルコースが12~14%減少し、善悪の判断などできなくなる。疲れている時は本当のあなたの判断はできない。(P23)

 【 睡眠は学習の質にも影響を与える 】
十分な睡眠はやるべきことを効率よく終えられ、アイデアにあふれ、エネルギッシュになれる。(P26)

 【 眠りは脳をきれいにする 】
睡眠は進化を阻むものではない。進化の触媒となるものなのだ。(P27)
脳は、複雑多岐の仕事をするために大量の老廃物を産生する。(有害なタウタンパクが脳にたまると認知症になる事は有名だ)その為、それを除去する独自の仕組みがあり、グリンパテック系と言われる。このグリンパテック系の活動は睡眠時は覚醒時の10倍以上活発になる。つまり睡眠時に脳内の老廃物が速やかに除去される。(P28-29)
睡眠はホルモン機能を高め、筋肉、細胞組織、臓器を修復し、病気から身体を守り、思考を最高の状態で働かせるためには睡眠が欠かせない。成功への近道と言える。(P30)

 【 最高の脳と身体を造る睡眠の技術 】
睡眠をスケジュールに組み込む。睡眠時間をここからここまでは摂ると予定し守る。これこそが、より良くより早く仕事をなす最高のスケジュールと認識する。(P30)
人生の質は睡眠が握っている。睡眠をかけがえのない道楽だと認識する。(P31)


 睡眠ホルモンを自らつくりだす 




 【 太陽光が睡眠の質を決める 】
ぐっすり眠るための行動は朝目覚めた瞬間にはじまる。睡眠は日昼に浴びる太陽光の量と大きく関係する。(P33)
実は私たちの身体は24時間周期の時計である(体内時計という)。決まった時間に決まったホルモンが分泌される。消化器系、免疫系、血圧、脂肪の利用率、食欲、気力まで影響を与える(視床下部の視交差部が中枢)。朝の太陽光がそれを決める。(P34-35)

 【 セロトニンがパフォーマンスを高める 】
セロトニンは幸福感や満足感をもたらすホルモンで、気分や認識力に影響するため抗うつ薬に多用される。セロトニンの95%は消化管にあるため、何を食べるかも大きな影響を与える。このセロトニンがメラトニンの原料となる。(P35)
自然光を浴びないとセロトニンが減り健康を害する。外に出る事が重要である。晴れた外は室内の100倍以上曇りでも10倍以上明るい。その結果セロトニンが増える。(P36)
メラトニンは「熟睡を促すホルモン」であることは間違いない。(P38)
メラトニンは加齢とともに減少するので、賢く眠る事が重要である。(P39)
睡眠にはコルチゾールも重要な働きをしている。メラトニンとコルチゾールとは反比例の関係である。よってストレスで増えるコルチゾールの影響をメラトニンが受け日内リズムが壊れ、その結果不眠となりかねない。(P42)

 【 自然光の有効性 】(以下はP43-47)
午前6時~8時半の間に太陽光を浴びる。毎日30分は外にいる。この時間が最も有効。
休憩時間は外に出る。10~15分でも効果はある。
ビタミンDを生成する紫外線Bを浴びる。
日光に当たれない人には光線療法なる裏技がある。しかし、曇りの外で30分いる方が良い。


 電子機器の使い方を見直す 

 【 電子機器は睡眠を阻害する 】
特に人工的ブルーライトはコルチゾールを分泌しメラトニン分泌を抑制するため睡眠不足になりかねない。(P48)
眠る前にPC画面に2時間向かうだけで夜間に分泌されるメラトニンが大幅に減る。できたら眠る前最低90分はスマホの画面は見ない。勿論夜中目が覚めても。(P50)
ドーパミンは獲物を探す・先がどうなるか知るなど「探究・意欲・注意力・意識の覚醒」に関わる物質。その結果、脳内に少量のオピオイドが分泌されるので、さらなる探究が始まる。これがネットにはまる理由である(セロトニンは、充実感や緊張の緩和をつかさどる)。眠る前にどちらが必要かは明々白々である。寝る前にテレビを観ればドーパミンが出る。(P53-56)

 【 電子機器が最も脳を覚醒させ良好な睡眠の邪魔をする】(以下P59-62) 
就寝前90分はブルーライト(全ての電子機器)を遮断する。
その代わりになる楽しい事を見つける。例えば本を読む。誰かと会話する。
自動通知機能をオフにする(メールの受信音など)。
ブルーライトカットをする。その為のツール、グッズがある。


 カフェインの門限は午後2時 

 【 コーヒー(カフェイン)を飲むと眠れなくなるのは本当 】
カフェインの門限は午後2時まで。もっと早くても良い。飲まないなら尚よい。(P75)
コーヒー(カフェイン)を寝る直前・3時間前・6時間前に飲んで睡眠状態を観察した実験では、どの時間帯でも睡眠が阻害される(睡眠ポリグラフィーにて)ことが分かった(本人の熟眠感覚に関わらず)。(P64)
コーヒーは眠気をとるがストレスは増える。カフェインの半減期は8時間。なかなか減らない。入眠時カフェインは無い事が好ましいため、コーヒーの門限は午後2時。
カフェインの影響は神経系だけではなく内分泌系にも与え、アドレナリン、コルチゾールを増やす。その結果、アドレナリンは一時的に気分を晴らすがその後アドレナリンの効果が切れると虚脱感に襲われる。コーヒー(カフェイン)依存症になる。(P67-69)
カフェインは午前中のリズムを調整する。カフェインはコルチゾールを刺激する事から日中に出るコルチゾール(ストレスホルモン)とは相性が良い。(P76)
コーヒーを控えたいなら、その代わりに濃い目のお茶(プーアル茶など)、紅茶(ダージリンなど)に変える。カフェインは3分の1から2分の1になる。(P71)

 【 体深部の温度を下げる 】
睡眠に最適な室温は15.5~20度である。(P78)
精神的ストレス(仕事・人間関係など)や食事・運動は体温の上昇を招く為睡眠を阻害する。感情をおちつける事も熟睡には重要である。(P82)
寝る2時間前にお風呂に入る。(P84)
冷えの有る人は寝る時に靴下をはいて寝る。暑がりの人は素足で寝る。(P85)


 午後9時~午後11時の間に寝る 

 【 睡眠に最適な時間帯 】
ホルモンの分泌量や疲労の回復は午後10時~午前2時の間である。(P86)しかし、1年を通し総じて床に入る時間は午後9~11時が最良である。(P96)

 【 深夜労働はがんを招く 】
遅くまで起きている習慣や深夜に働くのは発がんの要因である。最近メラトニンは最も強い抗がん効果があるホルモンであることが分かった(つまり、メラトニンが多ければ(良く眠れば)がんになりにくい)。またメラトニンには抗エストロゲン作用がある事が分かった。よってホルモンレセプター陽性の乳がんは、(エストロゲンががんを活性化するので)メラトニンが活性化すれば(よく眠れば)抑制効果が期待できる。(P90-91)
夜間シフトで働く女性はそうでない女性と比べ30%乳がんが多かった。(P91)
夜間シフト勤務は乳がんだけではなく大腸がん、肥満、心疾患も増えた。(P93)
不眠症はメタボリック症候群になるリスクを高める。(P94)

 【 就寝時間は重要  】(以下P96-101)
毎日午後9~11時の間に寝る。朝起きたらすぐに日光を浴びる習慣が重要。
睡眠サイクルを頻繁に変えない。90分が1サイクルなのでその倍数の時間寝るのが良い。


 腸内環境を整える 

 【 腸は第2の脳  】 
睡眠は食べたものの影響を大きく受ける。(P102)
メラトニンの原料であるセロトニンは小腸のクロム親和性細胞により生成される(セロトニンの生成にかかわる腸内細菌が存在する)。そして、腸には松果体の400倍以上のメラトニンが存在する。(P104)
腸神経系があり、脳神経同様の複雑な神経網が腸にあり脳内と同じ神経伝達物質が30種類腸内に存在する。食べ物が複雑に全身に影響を与えている。(P103)

 【 睡眠不足は腸内フローラの代謝異常を招く  】 
腸の情報は迷走神経により脳に伝達されるが反対の神経はない。腸からの指令が脳に一方的に入る。つまり、腸内環境は脳を支配している。(P104)
腸内環境は約600兆の善玉菌、悪玉菌と日和見菌で構成され、このバランスが腸内環境である。徹夜、寝不足は明らかに腸内環境バランスを欠き脳を介し全身へ悪影響を与える。(P105-106)

 【 加工食品はNG  】 
腸内フローラを壊すものとは、農薬・加工食品・抗生剤の常用・食品添加物や保存料・塩素処理水。摂ってはいけない。(P107)

 【 快眠をもたらす最強の栄養素  】 
免疫能と甲状腺機能にセレンは重要。(ナッツ・牛肉・鶏肉・・)(P110)
血中のビタミンCが少ないと睡眠が浅くなる。(葉野菜・キウイ・イチゴ・・)(P110)
セロトニンの前段階であるトリプトファンを摂る。(鶏肉・卵・サツマイモ・・)(P110)
浅眠にはカリウムが有効。(葉野菜・ブロッコリー・アボカド・バナナ・・)(P110)
レム睡眠の乱れにはカルシウム。(ケール・いわし・海藻・ゴマ・・)(P110)
日中の眠気対策にビタミンD。(メカジキ・サケ・マグロ・サバ・牡蛎・・)(P112)
オメガ3脂肪酸にはぐっすりと深く眠れる効果あり。(クルミ・サケ・魚油)(P112)
メラトニン生成を高める。(パイナップル・トマト・バナナ・クルミ・生姜)(P113)
ストレスを緩和するビタミンB6。(カシューナッツ・ピーナッツ・トマト)(P113)
腸内フローラを整える。(発酵食品、キムチ・ピクルス・紅茶キノコ・味噌)(P114)
善玉菌を増やす。(ニンニク・玉ねぎ・アスパラガス・タンポポの葉)(P114)

 【 マグネシウム(Mg)が不足すると慢性的な不眠症になる  】 
Mgは抗ストレスミネラルである。血糖、血流、血圧を調整し、筋緊張をほぐし、身体の痛みを和らげ神経の緊張を緩和する。現代人には最も不足するミネラルである。(P115)
Mgは食べ物だけでは摂りきれない。摂りすぎると下痢するので注意。(P117)
Mgは肌に塗るのがよい。良質な睡眠が得られる。イーズマグネシウムRなど。(P118)
Mgを食事でとる時には葉野菜・カボチャの種・ゴマ・スピルリナ。(P119)


 あらゆる光を遮断する 

 【 皮膚にも光を感じる受容体がある  】 
寝る時には真っ暗な方が良い。アイマスクだけでは不十分である。(P140)

 【 人工光がメラトニンを減少させる  】 
メラトニンの効果。免疫機能改善、血圧正常化、がん増殖の抑制、DNA保護力強化、フリーラジカル排除、骨粗しょう症リスク低減、痛みの軽減、インスリン感受性向上と体重減少の促進など多彩である。十分な睡眠を摂らなくては病気は治らない。(P141-142)

 【 光の色で及ぼす影響が違う  】 
光はメラトニンの産生を抑制する。最も抑制する光はブルーライト(パソコン、携帯画面、iPad)で最も影響が小さいのが赤い光。(ろうそく・ヒマラヤ岩塩の光)(P146-148)
寝室にスマホは持ち込まない。携帯画面の光スペクトルは覚醒ホルモンを分泌。(P173)
一日を携帯のメールチェックから始めるということは自分以外の人を優先する事になる。自分の為の時間が後回しになる。それでいいのか?(P173)


 熟睡したいなら運動するしかない 

 【 運動による負荷は必要なストレス  】 
身体の筋肉は抗老化作用のあるホルモンの貯蔵庫である。実は運動そのものは筋肉を引き裂き筋繊維に膨大な傷をつける。この損傷を修復する時に種々ホルモンが大量に放出され、運動前より強い身体になる。まさに筋肉修復の時間帯が睡眠時であり、運動の効用は睡眠によってもたらされる。(P150-151)
ただし、運動は午前が理想的であり夜の運動は避ける。理由は夜に運動すると深部体温が上がり良眠を阻害する。寝る前の6時間は運動は控える。(P152-153)

 【 睡眠不足は老化に直結する  】 
人の寿命を決定する遺伝子がテロメアである。老化によりテロメアは短くなる。そのスピードを上げるのが寝不足。老化は20代前半から始まっている。(P156-157)
ウエイトトレーニング(ベンチプレスなど、重いものを持ちあげる)はアナボリックホルモンが分泌され気分が上向きになり、見た目が若返り眠れるようになる。(P161)
ウエイトトレーニングは、2か所の筋肉を30分継続が重要。(P170)

 【 アスリートの睡眠は運動トレーニングの一環である  】 
あの100m金メダルのウサイン・ボルトは睡眠を最低8時間はとる。(P165)
ウサイン・ボルト「睡眠はこの上なく重要だ。トレーニングを体に吸収させるためには、体を休め吸収させる必要がある」(P165)
睡眠は時間が長ければ良いというものではない。賢く眠る事が重要である。(P166)
運動するのに重要なのは同じ目的を持つ(励まされる)仲間を持つこと。(P168)

 【 携帯電話は電磁界によりがんリスクを上げる  】 
電化製品から出る電磁界は白血病・乳がん・脳腫瘍などの深刻な病気と関係する。(P175)
部屋にテレビのある子どもは、試験点数が低く、肥満傾向が高く、睡眠に障害のある子が多い。よって、ベッド周囲2mには電子機器はおかない。スマホはリビングへ。(P182)


 快眠をもたらす最高飲酒法 

 【 アルコールはレム睡眠を阻害する  】 (レム睡眠の多寡が良眠の指標)  
人は寝るごとに賢くなる。寝る事で「記憶が整理」される。短期記憶で入力された情報が長期記憶となるのも睡眠のお蔭である。特に睡眠中のレム睡眠が重要である。アルコールは入眠を助けるが、このレム睡眠の時間と質を落とす。よって、脳と身体の改善の邪魔をする。また、この影響は女性が強く受ける。(P210-212)
アルコールが完全に抜けてから寝ると良い。早くアルコールを抜く方法は、一緒に同量の水を飲む事。ワインを一杯飲むごとに水を一杯飲むとよい。(P213)


 睡眠のためのマインドフルネス(瞑想) 

 【 睡眠を邪魔するもの  】 
それが「心のお喋り」である。人は毎日5万もの思念が湧いてくると言われている。それから解き放たれる方法が瞑想である。(P237)
目を閉じて呼吸に意識を集中させリラックスすることを繰り返す。そのうち時間の長さに関わらず、それに関わる神経細胞のつながりが強化され、目を閉じるだけでリラックスが訪れるようになる。(P238)
瞑想により、集中力が高まる・ストレスが減る・睡眠の質と量が改善する。(P241-242)
睡眠を邪魔するストレスは、逃走・闘争ホルモン(アドレナリン、コルチゾールなど)と交感神経の働きにより呼吸を浅くする(臨戦態勢とする)。一方、睡眠を促す安楽な状態は休息、修復ホルモン(オキシトシン、リラキシン、セロトニン、エンドルフィン)と副交感神経の働きにより呼吸を深くする(睡眠態勢とする)。幸い「呼吸」は随意神経と自律神経の両方の支配をうける(意識的にも意識しなくとも出来るのが呼吸)。つまり、ストレスの結果呼吸が浅い(交感神経優位)時に、瞑想(呼吸に集中し深く)する事は瞬時にホルモンと自律神経(副交感神経優位)を好転させる。(P245-249+α)
以上の瞑想は呼吸を通しての瞑想(座禅の数息観と同じ(筆者))で、マインドフルネス瞑想とは一言でいうと「今に集中する瞑想法」である。(P262-263)
瞑想に最高のタイミングは、朝目覚めてすぐか夜寝る前。ただ、午前中の瞑想は5~10分程度でもその日の夜の睡眠の質を改善する。(P255)
睡眠障害には浅眠がある。夜中に目が覚めたら、呼吸による瞑想でもマインドフルネス瞑想でも行うと著効がある。迷うよりまず行ってみる。害はない。(P268-269)
動く瞑想(気功や太極拳、ヨガなど)も続けることで効果が高い。(P260)


 サプリは本当に必要か 

 【 サプリ使用は慎重に  】 
睡眠のための薬やサプリは注意して使用する。これらは対処であり根本対策ではない。
ただし、カモミール(アビゲニン)は有効である。鎮痛、睡眠導入として有効であり、抗がん効果(乳がん、消化器がん、皮膚がん、前立腺がんなど)もある。(P263)
カヴァカヴァ(フィジーの植物のお茶)には、鎮静作用と認知力の向上作用があると言われる。(P264)
ヴァレリンの根は、鎮静作用があり寝つきが良くなり夜中に目が覚めにくくなる。(P265)
メラトニンのサプリは人気があるが、メラトニンはホルモンでありハーブではない。本来のメラトニン産生能を弱らせるので使うべきではない。時差ぼけを直す時くらい。(P269)
くれぐれもサプリは慎重にすべき。他の方法を使った最終手段と心する。(P270)
睡眠サプリとアルコールは決して併用はしてはいけない。(P271)


 マッサージは睡眠に有効 

 【 マッサージのメリットは驚くほど多い  】 
慢性疼痛の患者へのマッサージは鎮痛効果のみではなく、セロトニンが増え脳波もδ波が出現するなど睡眠の質が上がった。(P284)
マッサージの効用・血圧の正常化・体内炎症サイトカインの減少・鎮痛効果・関節可動域の向上・気分の高揚・頭痛の軽減・消化機能、排泄能の向上・ストレスホルモン減少・免疫能改善。(P285-288)
神門(しんもん)というツボ(手首の付け根内側)を30回押すと、がん患者の79%が睡眠が改善したという。(P291)
お腹を刺激して快眠。腹部を柔らかいビーチボールを使うなどして(床にボールを置き、その上にうつ伏せでお腹を乗せてぐるぐる回す。特に違和感あるところは入念に)5~10分程度刺激すると、迷走神経を介し脳に達し、良好な睡眠を導く。(P294) 


 体を大地にアースさせる 

地面とアースする(アーシング)と、大地の土を介し大量の自由電子が体内に注入され体内の活性酸素が除去される。電子移動(アース)と言う。これにより運動能力や治癒力が上がる。(P314)
アーシングは血液の状態が改善し、心臓発作を起こすリスクが下がる。(P315)
アーシングにより副交感神経が活性化し、それに呼応して交感神経が失速する。(P317)
具体的なアーシングの方法は、素足で定期的に地面に立つ。地面とは、土・草・砂に直接立つこと。コンクリートは出来るだけ避ける。海水など入るのは凄く良い。難しい環境なら、事務所の机の下にアースマットを敷けばよい。出来たら1日10分は触れる。(P320-321)
電子機器は現代の便利ツールであるが電磁界の障害を作り出した元凶でもある。しかし、今さらこれら電子機器を無くすわけにはいかない。アーシングはこの障害を極力除去してくれる。(P322)
時差のあるところに降り立ったら、まずその土地でアーシングしよう。体内時計をその土地に同期させる効果がある。時差ぼけを防げる。(P322)



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 睡眠とはがんに克つ寝技 

 如何ですか?
 以上は睡眠がいかに免疫力の活性化に重要かをご理解いただけたと思います。
 がんに関わらず、全ての病気予防や、楽しく有意義な人生を創造し、賢く生きる為にも睡眠がそのカギを握っています。
私たちは、がんになると「治そう」と躍起になります。しかし、それではますます緊張状
態を増強しストレスホルモンを分泌し治る事を邪魔していた事が分かりましたね。その結果、休息ホルモンを減らし副交感神経を抑制するため、ますます治り難くなっていたのです。
 身体は無限の力を持っています。そうでなくては、手遅れのがんが消える筈がありません。大事な事は、まず自分を信じてください。皆さんは先祖代々の最後を託されている子孫(末裔)です。最も洗練された先祖の遺伝子の集大成が皆さんご自身です。弱く簡単に死ぬようならば、既に淘汰されています。素晴らしい遺伝子を受け継いでいるのです。これは間違いありません。ですから、それを信じて、努力すべきは、まず「睡眠」です睡眠力をつけると言う事!まず皆さんの1日スケジュールの最初に「睡眠時間」を入れる。これを必ず守ると誓う。夜、睡眠時間がやってきたら、「あと少しだけ!」と思っても潔く「終了」と言って残りは明日やるという覚悟を持って下さい。出来なくて周囲(上司)から咎められたら、「私はがんですが、何か?」と言えばよいのです。それでも言われたら、その人はあなたの命以上に業務優先だと言う事です。その職場を辞めましょう。大丈夫、明日はあります。その為に明日があるのですから。がんを公言できる力も治るためであり、睡眠の為なのです。
 睡眠とは、重要な身体への思いやりだったのです。そして、寝さえすれば、後は勝手に皆さんの身体に秘められた大きな力(自然治癒力)が治してくれるのです。

 これこそ、がんに克つ寝技です。