Kさんとの出会い
ヘルパー 安部 節子
その方はKさん、74才、女性。
私が初めてお会いした時の印象は、よくある腰痛持ちの方で、1本杖を使用し、デイケアのみを利用されておられました。控えめで、少々うつの傾向のある人だな、というものでした。
基本的に、食欲低下はあるものの、原因不明である日を境に、一日中ベットの上で寝たきりの生活を強いられる様になられてしまいました。夫76才との、2人暮らしの生活を送られていた御夫婦です。
妻が一日中ベットから離れる事が出来ず、夫がキッチンに立たなければならなくなり、食事は近所の方のさし入れと、時に夫が作るもの、という食事すら、こと欠く状況となっていきました。
──そんな中で、食欲は減り、褥瘡まで出来てしまいました。
何事にも、前向きに考えられず、虚無的で、うつの気質も手伝い、ますます家庭の中は暗い雰囲気が漂い、とうとう平成11年12月末頃、入院されてしまいました。
──再会したのは介護保険導入後の平成12年6月中旬頃でした。
医療機関で、入院生活を送るより、在宅で、サービスを利用しながら、自分達のペースで生活していきたいという強い思いから退院されたのです。
私たちヘルパーは、不足している夫の介護にサービスで補いながら、2人の安定した生活が維持できるよう、支援していくという目的で関わらせていただくようになったのです。
──Kさんへの訪問介護がスタート。
サービス内容は、全身清拭、オムツ交換、更衣、調理、食事摂取状況チェック、買い物等、365日提供する事になりました。
(年中休む事なく支援)
ヘルパーが訪問する様になって、Kさん御夫婦も序々に慣れてこられたのでしょう。少しずつ変化が現れてきたのです。
Kさんの入院前の生活と、現状での生活は、隨分表情が明るくなり、前向きに物事を考えられる様になられた事です。
以前は、自分で寝返りがうてなかったのが、現在は寝たきりである事に変わりないが、やや体交等、できる様になった為、褥瘡は完治されました。とってもうれしい事です。
──現在、Kさんの『室内を歩きたい』という要望が聞かれ、本人の意欲が失われない様、今後の関わりを大切に作っていきたいと願っています。 |
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