コラム

一滴の香りから

アロマテラピスト 星野 正仁
1. アロマとは?
傷ついた動物たちは、昔から森の中にはいり、その傷が癒えるまでじっとしていました。森には多くの植物があり、それらが傷を癒してくれる力があることを本能的に知っているからです。では、植物にとって香りはどんな役割を果たしているのでしょうか?
自らが移動できない彼らは、種族を守るために受粉などに必要な虫や、種を運んでもらう為の鳥をその香りでさそったり、反対に自分たちに有害な人、動物、虫などを避けるための忌避物質であったり、「もうすぐ雨が降る」とか、「敵がくるぞ」とか、仲間内で知らせ合う為のコミュニケーションのツールのひとつであると言われています。
そういった植物の作用を利用しているのが、自然療法としてのアロマテラピーです。

2. 流れ
アロマテラピーに関わって10年近くになりますが、最初はこれから注目されるだろう「売れ筋」商品としてのひとつひとつとして取り扱っていこうというつもりでした。
ところが、ここ3~4年ぐらい前から少しずつ流れが変わり始め、取引先も小売店から医療機関が中心になってきました。それと同時に自分の中にあった直接自分が人と接したいという思いがだんだん頭をもたげはじめ、今は講師としてワークショップ(講座)を開いたり、患者さんに接したりでき、やっと本来の「自分の居場所」が見つかったという安堵感の中で楽しく役割を果たせて頂き、とてもハッピーな気分です。一年前は、自分が癒される側であったのに…。
ある日、本屋で見つけた2冊の本「聖なる香り(サトル・アロマテラピー)」―パトリシア・デービス著― と、「生命の子守歌」―越智啓子著―が、アロマテラピーでは、男性である自分には不向きであるという考えを一掃してくれました。
それまで、ぼくは、アロマテラピーは肌に直接触れるというトリートメント(マッサージ)が主流であると思っていたからです。
この2冊の本から僕はアロマが、人間の肉体感情のみではなく、「たましい」をも浄化していく力があることを学びました。一滴の香りが「場」を大きく変えることができるのです。これなら、男性である自分にもできると確信し、またその能力を実感できるようなことがだんだん身の回りに起こりはじめました。
運良く、越智啓子先生のセミナーに参加させて頂くことができ、基本的にヒーリング方法はそれを踏襲しています。また、これまで関わってきた「人」「モノ」「コト」の情報などを自らのフィルターにかけ、自分なりの方法を編み出す段階にあり、患者さんの反応から学ばせて頂いたことも多くあり、感謝しています。

3. 岐阜の仲間たち
昨年からいろいろな家庭などでワークショップを開き、さまざまな出会いがありました。
いつも岐阜特有の「暖かい何か」を持ち帰ることができます。
これはいったい何だろうか?いても不思議な思いでいました。彼女たちが母親として、子供たちを思う気持ち、他人の為に自我を抑えて尽くそうという無償の愛がキラキラ輝いています。だから、自分たちの手作りのお弁当はおいしかったり、子供たちのために作るオリジナル軟こうはよく効くのかなって感じでいます。子供たちの中にも「匂いがすると治る」という、感覚が芽生えはじめ、ミニアロマテラピストの誕生です。

4. 勇気
さまざまな症状をもつ人々に接して、感じていること。それは、身体や心の病いに関わらず、自分を振り返り、自分を変えてゆく「勇気」が必要だということです。痛みなどを抑えて封じ込めるのではなく、浄化、解放していくこと。
その人の症状は、その人の考え方、行動、取り巻く環境などが多く反映されていると実感しています。薄々自分でも感じている問題点が病気という現象として「早くなんとかしろ」とメッセージを送ってくれています。
これに気づき悩み、考え、行動に移す勇気があった方は、とても治りが早く、こちらもあ然としてしまうことがありました。逆に症状だけ抑えてしまった方は、ブーメランのように自らが作っている問題の前に戻ってきます。それは、自ら人生のカルテの上に色濃く残されています。
それをいちばん知っているのは自分自身だし、その傷の癒し方も知っているはずです。
そこに飛び込む「勇気」を問われているのが病気であるという見方もできるのではないでしょうか。幼い頃、買ってもらったばかりの長靴をはいて、雨上がりの日に水たまりを飛び越せとイジメッ子に言われ、新しい長靴を汚したくないって思ったり、自分に飛び越せるだろうかという小さな不安が頭の中を行ったり来たりして、なかなかできなかったけれど、「エイ、ヤ!」で跳んでみたら、長靴も服も汚れてしまったけれど、そこにいたのは新しい自分。このときの勇気を思い出して―――――

5. 冬のおすすめレシピ(風邪のひきはじめに)
簡単で気持ち良い蒸気浴。
・ 用意するもの……洗面器、バスタオル、ユーカリとラベンダーのエッセンシャルオイル
・ 方法……洗面器にお湯を入れ、ラベンダーとユーカリを2滴ずつ垂らし、洗面器に接するぐらい顔を近づけ、バスタオルで頭と洗面器をスッポリかぶせ、目を閉じ、10分間ゆっくり呼吸しましょう。