コラム

更年期ってなに?

そろそろ私も更年期の船戸博子
「あつくって、あつくってもう、先生いったいどれだけ待てばいいの。」と、よし子さんが、首の汗を拭きながらぷんぷんおこって診察室に登場。  こりゃまずい‥‥

「今日はいいお色のお顔ですね。」と申し上げると、「これはね、先生、のぼせてるのよ。さわってみて、足なんかこんなに冷たいんだから。胸もドキドキするし、肩がこって、お鍋を持つのもイヤになる。それに寝てもすぐ目が覚めるし。こんなに頭がガンガンして、頭の線が切れるんじゃないかしら・・・」

こんな時は、とにかく「うん、うん」うなずきながらお話を拝聴、傾聴。よし子さんは45才、只今更年期のまっ只中。

─さてはて、かよわいよし子さんを巻き込み、ほんろうしている更年期っていったい何でしょう?─

それには、まず女性の生理のしくみからお話ししましょうね。

女性の性は、卵巣の働きによって、支配されます。卵巣から分泌されるエストロゲンによって、月経、妊娠など、女性性の様々な機能のバランスがとられています。

卵巣の働きが、加齢とともに低下していくと、エストロゲンも減少して、やがて閉経を迎えます。日本人の閉経の平均は50.5歳です。更年期とは、この閉経前後合わせて10~15年くらいをいいます。

人間の体は、体温をはじめ、ホルモン量も一定にするという働きがあるため、エストロゲンが減ってくると、エストロゲンの分泌を増やすため、脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌され、それを受けて、下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、それを受け卵巣からエストロゲンが分泌されるのです。
そのはずなのに、卵巣はもうエストロゲンを分泌する機能がないためにエストロゲンは分泌されません。

こうなると、視床下部はパニックになってしまいます。 すると、同じところに中枢を持つ自律神経にも影響がおこり、自律神経の失調がおきます。この自律神経はとっても大事!な神経で、このバランスがくずれると、心身両面で変化がジャジャ~ンとおきてくるのです。


更年期・気になる症状
血管運動神経症状 ほてり・のぼせ・多汗・手足や腰の冷え・動悸頻脈
精神神経症状 めまい・耳鳴り・頭痛・頭が重い・眠れない・眠りが浅い・不安・ゆううつ・イライラ興奮しやすい・無気力・神経質・孤独感・気分不安定・物忘れ
運動器官系症状 肩こり・腰痛・関節痛・背部痛・筋肉痛
皮膚・分泌系 むくみ・動脈瘤・シミ・シワ・湿疹・皮膚のかさつき・口やのどの乾き・目の乾き・舌痛症・唾液異常分泌
消化器系症状 食欲不振・胃もたれ・便秘・下痢・腹痛・腹部膨満感・腹部痛・のどのつかえ
泌尿器・生殖器系症状 頻尿・残尿感・月経異常・排尿痛・性交痛・膣乾燥症・性器下垂感・外陰掻症・不感症・冷感症
知覚系症状 しびれ・走感・かゆみ・知覚過敏・知覚鈍磨

の、ようなものがあります。
「あっ、これ! 私って更年期障害だったのね!」と、思いあたるふしも多いと思います。が、ここからが大事!!

──本当に更年期?──

40代には、今までの生活のツケでもある、生活習慣病
(高血圧・高脂血症など)がおこりやすいのです。更年期の症状は他の病気と、こんなにまぎらわしいのです。

更年期の症状とまちがえやすい病気
月経 不順 子宮筋腫・甲状線機能の異常
不正 出血 子宮体ガン・子宮筋腫・子宮内膜増殖症
性交後の出血 子宮頸がん・頸管ポリープ・膣炎・膣部びらん
頭痛が続く 脳腫瘍・くも膜下出血・甲状線の異常
目・鼻・耳・歯の病気
頭痛・首や肩のこり
めまい・耳鳴り
高血圧・低血圧・眼精疲労・自律神経失調症
めまい・耳鳴り
・難聴
メニエール病・突発性難聴・中耳炎・脳梗塞・脳腫瘍
関節のこわばり・
手や肩・腰の痛み
慢性関節リウマチ・五十肩・四十肩
変形性脊椎症・骨粗鬆症
手足のしびれ 変形性脊椎症・脳の病気
動悸・息苦しい 狭心症・心筋梗塞・不整脈・心臓神経症
頻尿・残尿感 膀胱炎・子宮筋腫・子宮脱
のどの乾き 糖尿病
食欲不振
・胃の違和感
胃炎・消化性潰瘍・胃がん
便秘・下痢をくり返す 大腸ポリープ・大腸がん・過敏性腸症候群
ゆううつ うつ病

ですから、まずは、ドクターの診察を受け、必要なら検査を受けましょうね。
さて次回は、
「更年期はこれでぐい~んと、のりきりましょう!」のお話です。
(つづく)