コラム

治るからだのつくり方

邱紅梅
お灸・指圧・按摩にも効果がある
がんや膠原病、難治性のアレルギー疾患になりますと、食事や日常生活への配慮では間に合わないので、生薬やツボ刺激のような家庭療法を加えます。
「気」を高める「お血」を覗くツボというのがありますが、素人の方が正確なツボを探すのは難しいので、ツボ周辺のマッサージやお灸を奨めています。
これは、直接ダイレクトに免疫力を高めたり、「お血」を取り除いたりしてくれるものです。
お灸は市販のものを使ったり、生姜の上にお灸を乗せたり、ビワの葉を重ねて上からお灸をしたり、棒灸をツボに当てたりします。お灸が苦手な方は、指圧や按摩をしていただきます。


漢方を希望される方は多いのですが、そんな大げさなことではなくても、薬草茶として飲む方法もあります。

「気虚」には薬用人参や黄香を、抗がん剤や放射線治療を受けているときは薬用人参の中でも西洋人参というように、状態に合った薬草をお茶として飲みます。

「気滞」は日常生活や食様で対処しますが、重い病気の場合は気持ちのやり場を探していただく必要があります。実際には病状が進んでいても、家族や誰かの支えがある場合には、本人も楽しく過ごしていることが多いです。

私を訪ねる方は女性が多いので、30代くらいの若い女性を多く見ています。彼氏ができると調子が良くなり、失恋すると体調が落ちます。気持の整理がつくまでは体調も悪いので、そういう方にはカウンセリングを奨めます。

以前、がんになってから300冊以上も本を読み、自己カウンセリングで気持が立ち直った方がいました。
方法は人によって違いますが、がんや重いアトピーのように長い闘病生活が続くときは、気持のやり場を探していただくことが大事です。

また、お灸やマッサージなど「気滞」・「お血」・「血虚」に応じて利用していただくといいでしょう。

指圧は日本的なものですが中国漢方的には按摩ないしは推拿(すいな)となります。
「推」はおす、「拿」はつかむの意味です。つかんだり、つかんで放したり、引っ張るような手法をします。
ツボを探すのは素人には難しいのですが、広範囲の推拿ならばどこかにあたります。例えば手のひらにある「労宮」のツボをさがしても、素人にはなかなか当たらないので、手のひら全体を押したり揉んだりしてもらいます。
足の裏にある「湧泉」のツボは「腎」・「精」に良いのですが、やはり見つけるのが難しいので足の裏全体を押したり揉んだりしてもらうようにしています。


ツボを探すには「圧痛点」が理解しやすいでしょう。押して痛いところを探して押す。
圧痛点は、何か問題があるから、身体の中のアンバランスの反応として表れているのです。

例えば、肺がんの肩は背中を押して痛いところにお灸をしたり、その周囲をマッサージする。
婦人科のがんでは、よく腰痛が出てきます。腰仙部という、腰よりも少しお尻に近いところです。その辺りの圧通点か、乗せやすいところでお灸をしてもらいます。


ともあれ、「正気」と「邪気」のバランスを取ることが大事です。
「精」のつくものの食べすぎは良くありませんし、何かひとつの方法に固執するのも良くありません。
がんの場合はどうしても「正気」を高める方にばかり頭がいってしまいますが、「気」を高めても流れが悪ければどうしようもない。

ですから、ぜひ総合的に考えて頂きたいと思います。