仏壇
春原啓一
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仏壇をひとつ、見繕っていただけますか?
立派なものでなくてよろしいです。いえ誰かが亡くなったというわけではありません。
強いていえばこれからなくなるというか。
思えば、たくさんの方々にお世話になりました。
して差し上げたことよりも、していただいたことの方がずいぶん多い、そんな人生でした。
それでもこの身に余る、私にしては充分な人生でありました。
そのことを、ただ感謝したいのです。
私の望はただ一つ。感謝の気持ちを天に届けたい。
ほかに何も望みません。良く生きることも、良い死も、誰かのしあわせも。
ただただ念仏を唱えます。つたない念仏ですが、一生懸命唱えます。
そういう気持ちで、仏壇を求めに参った次第です。
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